本文に移動

「『梨泰院惨事』で政治家の暴言そのまま報道…メディア各社の責任は重い」

登録:2023-02-04 02:05 修正:2023-02-04 09:15
「2次加害者は誰か」テーマに討論会
梨泰院惨事100日を2日後に控えた3日、ソウル龍山梨泰院の惨事の現場となった路地に設置された「10・29梨泰院惨事記憶の道」で、ある外国人が追悼文を貼っている/聯合ニュース

 梨泰院(イテウォン)惨事100日を前に、遺族と犠牲者に対する2次加害が無批判な報道によって拡大再生産されていると指摘する声があがった。政治家の暴言をそのまま記事の見出しとして使って流通させたり、2次加害行為を単純に中継報道したりしたことが代表的な例だ。

 10・29梨泰院惨事市民対策会議と遺族協議会は3日午後、ソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)の国会議員会館で「2次加害者は誰か」と題する討論会を開催し、報道、ポータルサイトのコメント、ユーチューブなどのメディアの2次加害の実態を発表した。

 主題発表を行った民主言論市民連合(民言連)のキム・スジョン政策委員は、昨年12月にSNSのフェイスブックで犠牲者と遺族を中傷し2次加害行為を行った国民の力のキム・ミナ昌原(チャンウォン)市議会議員を、主な「拡大再生産」の例としてあげた。大半のメディアが「子を売って商売している」のような刺激的なキム市議の発言をそのまま見出しとして使用した。あるメディアはキム市議を批判する政界の声を紹介しつつも、見出しに「死体売り」のような表現を使っている。民言連のシン・ミヒ事務処長は「見出しを読むだけでも暴言があらわになっているものだから、遺族と生存者、記事を読む市民まで2次加害にさらされた」と指摘した。

 梨泰院惨事の犠牲者の焼香所のそばで追悼を妨害する新自由連帯の行為を「対抗集会」と無批判に中継報道する報道を指摘する声もあがった。民言連の分析によれば、新自由連帯に関する2次加害報道は67件で、そのうち38件が「反対集会」が行われているという報道だった。「2次加害」だと指摘した記事は21件でそれより少なく、このような行為が続いた背景を深掘りした記事は8件に過ぎなかった。

 ユーチューブ、コミュニティにあがった文章、記事に対するコメントも「2次加害」を流通させた。民主社会のための弁護士会「10・29惨事」真相究明および法律支援ダスクフォースで2次加害対応チーム長を務めるキム・ジミ弁護士は「2次加害を加える極右ユーチューバーを告訴すれば、告訴したという事実が『炎上』を引き起こし、罰金より多くの金を稼ぐ」とし、「アカウントを二度と開けないようにする方法を政策的に考えるべきだ」と提案した。この日の討論会を中継する民言連のユーチューブチャンネルでのリアルタイム配信にすら遺族と犠牲者に対する2次加害コメントがつき、主催者はコメント欄を遮断した。

 遺族協議会のイ・ジョンミン副代表は「159番目の犠牲者である故イ・ジェヒョン君の例を見て悩みはじめた」、「助かっただけでもありがたいのに、(2次加害者が)背中を押して崖に突き落とした。これ以上放置してはならないし、社会が考えるべき時に来ている」と話した。

 遺族協議会と市民対策会議は、惨事100日追悼期間である5日まで、すべてのメディア、ネイバー、カカオに追悼大会関連記事のコメント欄を閉鎖するよう要請した。カカオは閉鎖要請に応じることを決めた。ネイバーは、コメント提供は「報道機関の選択制」であることを説明しつつ、利用者に対し悪質コメントなどを控えるよう協力を要請する公示を掲載した。

チェ・ユンテ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1078209.html?_fr=mt1韓国語原文入力:2023-02-03 16:49
訳D.K

関連記事