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「聖域のない梨泰院捜査」掲げた韓国警察、上層部を取調べもしなかった

登録:2023-01-14 06:25 修正:2023-01-14 08:52
警察特別捜査本部、73日間の捜査終了 
梨泰院特別捜査本部のソン・ジェハン部長が13日午前、ソウル麻浦区の梨泰院事故特別捜査本部で、捜査結果に対するブリーフィングに先立ち、惨事犠牲者を追悼している/聯合ニュース

 犠牲者159人を出した昨年10月29日の梨泰院(イテウォン)惨事の原因と責任究明に乗り出した警察庁特別捜査本部(特捜本)が、73日間の捜査を終了した。発足当時「聖域のない捜査」を掲げたが、結局イ・サンミン行政安全部長官など「上層部」に責任を問うことができないまま検察にボールを渡した。

 特捜本は13日、ソウル警察庁麻浦(マポ)庁舎で「梨泰院事故の捜査結果」に関する記者会見を開き、イ・イムジェ前龍山(ヨンサン)警察署長とパク・ヒヨン龍山区庁長など6人を拘束送致し、キム・グァンホ・ソウル警察庁長、チェ・ソンボム龍山消防署長など17人を在宅送検するなど、23人を送検したと発表した。梨泰院惨事4日後の昨年11月2日、501人規模で発足した特捜本は警察など公務員と目撃者など事件関係者538人を調査し、警察庁や龍山区庁など60カ所を家宅捜索して証拠資料14万点余りを確保した。

 特捜本は聖水大橋崩壊事故、三豊百貨店崩壊事故など大型災害の捜査に活用された「過失犯の共同正犯」で法理を構成した。各機関の過失が重なり、多数の犠牲者が発生したとみて、公務員を業務上過失致死傷容疑の共同正犯にしたのだ。特捜本が「重大な結果発生に対する処罰の死角地帯の縮小」を掲げたことで、広範囲な責任者処罰に対する期待感が高まった。

 しかし、捜査中盤に主要被疑者に対する拘束令状が相次いで棄却され、捜査の勢いが急激に衰えた。特捜本は昨年11月30日、主要被疑者であるイ・イムジェ前龍山署長とソン・ビョンジュ前龍山署112治安総合状況室長に対する令状を請求したが、棄却された。証拠隠滅教唆の疑いが持たれているパク・ソンミン前ソウル警察庁情報部長など警察の情報関係者に対する令状は発行されたが、惨事対応の不備を意味する業務上過失致死傷の容疑を立証することには失敗したのではないかという指摘もあった。特捜本はそれから1カ月が過ぎた先月23日になって令状を再請求し、ようやく彼らの身柄を確保することができたが、すでに捜査が最終段階に入った後だった。チェ・ソンボム龍山消防署長に対する拘束令状を先月28日に検察が補完捜査を求めて事実上差し戻し、救助当局の責任に対する捜査も拡大できなかった。警察は結局、チェ署長を在宅のまま検察に送致した。

 これに伴い、特捜本の矛先は結局、龍山警察署・区庁・消防署、梨泰院駅とソウル警察庁の情報・警備部だけに向けられた。イ・サンミン行安部長官は不送致(却下)処分され、警察組織のトップであるユン・ヒグン警察庁長官は立件前の内部調査段階で終結処分となった。彼らは出頭して取り調べを受けることはもちろん、書面調査すら受けなかった。特捜本は「行政安全部、警察庁などの機関については具体的な注意義務違反があったとみるのは難しい」と説明した。

 事件を引き継いだ検察の捜査が「上層部」を狙えるかに注目が集まっている。これに先立ち、検察は特捜本の捜査が終了する前の10日、警察庁やソウル警察庁、龍山区庁など10カ所を対象に一斉に家宅捜査に乗り出した。同日午前10時、被害者の調査を受けるためソウル西部地検に出頭した梨泰院惨事遺族協議会のイ・ジョンミン副代表は「惨事の責任が龍山区庁長や龍山署長の線で終わるのは、多くの人命が死亡した部分を(説明するには)非常に不十分だ」としたうえで、「多くの人が救助要請をしたが、緊急な状況について報告を受けたにもかかわらず、上層部が黙殺したのかどうかを明らかにしなければならない」と語った。

チェ・ユンテ、イ・ウヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1075652.html韓国語原文入力:2023-01-13 18:37
訳H.J

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