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【独自】韓国外交部、MBC相手取り「尹大統領暴言報道」の訂正報道求めて訴訟

登録:2023-01-16 02:03 修正:2023-01-16 06:56
訂正報道請求訴訟を起こしていたことを確認 
原告は尹大統領ではなくパク・チン長官 
当事者適格性をめぐって論争になる可能性も
尹錫悦大統領の卑語使用問題を報道するMBCの番組より//ハンギョレ新聞社

 韓国外交部が、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領のニューヨーク訪問中に卑語発言を最初に報道した文化放送(MBC)を相手取り、訂正報道請求訴訟を起こしていたことが確認された。昨年、言論仲裁委員会(言仲委)において双方の意見の相違により調停が成立しなかったため、訴訟を起こしたもの。外交部が本訴訟の当事者として妥当かどうかをめぐっても議論を呼ぶと予想される。

 15日の本紙の取材を総合すると、外交部は先月19日、ソウル西部地裁にMBCを相手取って訂正報道請求訴訟を起こした。外交部はパク・チン外交部長官が原告となり、パク・ソンジェMBC代表取締役を相手取って訴訟を起こした。卑語発言の当事者である尹大統領は訴訟から外れている。

 MBCは昨年9月、尹大統領が国連総会に出席するために米国ニューヨークを訪問中に、大統領の暴言・卑語使用問題を報道した。当時、MBCは尹大統領が「国会でこのXX(野郎ども)が承認してくれなかったら、バイデンは赤っ恥をかくだろうな」と発言したと報道したが、大統領室は「バイデン」ではなく「飛ばせば(ナルリミョン)」と言ったと主張した。

 その後、外交部は昨年のMBCの報道をめぐり、言仲委を通じて訂正報道を請求した。MBCが事実と異なる報道をしたため同盟国内に否定的な世論が広がるとともに、韓国外交に対する国民の信頼が揺らいだとの理由による請求だった。

 しかしMBCは、虚偽報道ではないため訂正報道は難しいとして対立した。調停に乗り出した言仲委は、当事者同士で合意に至らなかったことから、調停不成立の決定を下した。言論仲裁法上、言仲委仲裁部は、当事者同士による合意不可など調停が適合しない顕著な理由がある場合は、調停不成立と決定しなければならない。

 外交部は、この件について言仲委に続き訴訟まで起こして訂正報道を請求した理由について「MBCの事実と異なる報道により、韓国外交に対する国内外の信頼に否定的な影響があった」とし「事実関係を正し、韓国外交に対する信頼を回復するために、訂正報道請求訴訟を起こした」と述べた。

 ただし法曹界では、この報道に対する訂正報道請求について、外交部にも当事者としての適格性があるのかは疑問だと指摘する声もある。報道されたのは尹大統領の発言についてであるにもかかわらず、大統領室ではなく外交部が「代理訴訟」を起こしたかたちだからだ。メディア法専攻のある法学部教授は「外交部を報道による被害の当事者とみなせるかは疑問だ。当事者として適格かは懐疑的」だと述べた。いっぽう、メディア訴訟経験の豊富なある弁護士は「外交部の立場からすると、大統領の発言が事実と異なって報道されたため被害を受けたと主張できると思われる。当事者適格性問題というより『バイデン』という表現が虚偽なのか否かが争点になりそうだ」と語った。

 これについて外交部関係者は「外交部は韓国外交の核心軸である韓米関係を総括する省庁として、当報道の最も大きな被害者であるため、当事者適格性を持つ」と答えた。

カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1075720.html韓国語原文入力:2023-01-15 11:34
訳D.K

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