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「不安の中で生きるのは嫌だ」…憤る韓国の女性たち、再び街頭へ

登録:2022-12-05 03:08 修正:2022-12-05 08:47
4日、ソウル鍾路区の普信閣前で行われた「女性を狙った凶悪犯罪に厳罰を求める」集会に参加した市民が「女性の殺害をやめろ」と英語で記された黄色いタオルと「女性だから殺された」というメッセージを意味するプラカードを掲げている=オ・セジン記者//ハンギョレ新聞社

 4日午後、ソウル鍾路区(チョンノグ)の普信閣(ポシンガク)の前に500人あまりの市民が集った。女性を狙った凶悪犯罪に厳罰を求める集会を行うためだ。体感温度が氷点下5度にまで下がった中でも、市民たちは集会に参加して声をあげた。参加者たちは「構造的問題であるフェミサイド(女性殺害)、私的なものとして扱うな」「女性殺害の加害者は社会構造」「不安の中で生きたくない。安全に生きたい」などのスローガンを力いっぱい叫んだ。

 この日の集会はバックラッシュ共同対策委員会「ヘイル(高波)」が主催した。ソウルだけでなく光州(クァンジュ)や釜山(プサン)でも「女性を狙った凶悪犯罪に厳罰を求める」集会が同時に行われた。3地域あわせて600人あまり(主催者推)の市民が集まった。2022年が暮れゆく中、市民たちは冷え込む街頭に出て、国は女性にとって安全な社会を作らなければならないと声を強めた。

 ヘイルは7月の「仁荷大学性暴力殺人事件」、9月の「新堂(シンダン)駅ストーキング殺人事件」、10月に忠清南道瑞山(ソサン)で家庭内暴力の加害者が接近禁止命令に違反して被害者の職場を訪ね、被害者を死亡させた事件などに言及しつつ、立法府、行政府、司法府に対して女性を狙った凶悪犯罪の解決を求めた。警察庁の犯罪統計によると、最近5年間(2017~2021年)に発生した12万3810件の凶悪犯罪(殺人、強盗、放火、強姦・強制わいせつなど)事件のうち、女性が被害者となった事件は88.1%(10万9133件)に達する。

 ヘイルのキム・ジュヒ代表は「なぜ2016年の江南(カンナム)駅殺人事件以降も(女性が安全でない現実が)変わっていないのか、なぜ人が死んではじめて(社会は)変わるふりをするのか、なぜ時間がたつと(社会は変わらなければならないという声が)聞こえなくなってしまうのか分からない。女性たちが日常で経験する暴力と差別を否定し、『おまえが敏感なだけ』と言って個人的な問題にしようとする権力に、立ち向かい続けなければならない」と話した。

 市民の手には「女」という漢字が書かれており、上段に菊と遺影にかけるリボンが描かれたプラカードが握られていた。「女だから殺された」というメッセージを意味するものだ。また、市民が掲げた黄色いタオルには「フェミサイドをやめろ」と英語で記されていた。「もう我慢できない。女性たちを保護せよ」「生きたい。生存権を保障せよ」「穴の開いた法と制度、現政権は反省せよ」というスローガンを叫んだ市民たちは、カイロで手と耳を温めながら集会を最後まで守った。

4日にソウル鍾路区の普信閣前で行われた「女性を狙った凶悪犯罪に厳罰を求める」集会に参加した市民が、女性にとって安全な社会を作れと叫んでいる=オ・セジン記者//ハンギョレ新聞社

 この日の集会では、5月に釜山市釜山鎮区西面(プサンジング・ソミョン)で面識のない30代の男性から暴行を受けた20代の女性被害者の発言が代読された。この事件の加害者は殺人未遂容疑で起訴され、10月に懲役12年の判決を受けた。被害者は「フェミサイドをあばくことは、きちんとした再発防止策を立てるとともに、被害生存者に寄り添うということ」だとし「フェミサイドは捜査機関、司法府、そして行政を扱う人々の認識が変わってはじめて防げる」と述べた。

 市民の発言も相次いだ。ストーキング犯罪の被害者だと自己紹介したある市民は「犯罪者が監獄に行き、被害者を日常に復帰させる社会になるべき」だと述べた。別の20代の女性は「生き残った人間としての罪悪感を抱いて毎回集会やデモに参加している。でもなぜ私たちが罪悪感を抱かなければならないのか。世の中が間違っているせいだ」と述べた。ヘイルは「フェミサイドに立ち向かう抵抗が広がることを期待する」と語った。

オ・セジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/1070159.html韓国語原文入力:2022-12-04 18:54
訳D.K

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