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継父、恋人、孫、知人…女性たちの相次ぐ死は偶然ではない

登録:2021-09-01 03:01 修正:2021-09-01 08:47
「家父長制、女性に対する犯罪の軽視が結合したフェミサイド」
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 ここ1カ月間で、女性が被害者となった殺人事件が相次いで発生した。義理の父親による幼児殺害、交際していた男性による20代女性の殺害、性犯罪者による中年女性の連続殺害、10代の孫たちによる祖母殺害など、内容は異なるものの、これらの事件はすべて韓国社会の家父長的構造から来る「女性に対する犯罪」の類型を繰り返している。偶然ではなく、構造的な「フェミサイド(男性による女性殺害)」と考えるべきだとの分析がなされている理由がここにある。

 ここのところ起こっている事件は、共通して継父、交際相手、知人などの「親密な関係」か、少なくとも顔見知りの男性が加害者だった。児童虐待殺害や未成年強姦などの容疑で現在裁判中のY被告(29)は、生後20カ月の義理の娘が犯行対象だった。Y被告は、自分の妻も頻繁に暴行していただけでなく、妻の母親も性的対象と見なす言動を繰り返していたという。ソウル麻浦区(マポグ)のある住宅で26歳の女性に暴行を加えて死亡させた男性は、被害者の交際相手だった。

 親密な関係にある男性による殺害は、韓国社会で最もありふれた「フェミサイド」の一形態だ。社団法人「韓国女性の電話」の分析によると、昨年の「親密な関係にある男性による女性殺害」事件は、メディアに報道されたものだけで97件。殺人未遂で生き残った131人の女性も含めると、被害者は228人にのぼる。少なくとも1.6日に1人の女性が親密な関係の男性に殺されるか、殺される危険にさらされたわけだ。

 韓国女性の電話は「(加害男性の女性殺害理由は)一見、それぞれ異なっているように見えるが、大きく見れば『自分の考えに従わないから』という、とても単純な理由とつながっている」と述べた。Y被告は、生後20カ月の義理の娘を「寝ないし泣く」との理由で殴り殺した。韓国女性の電話が分析した昨年の女性殺害事件は、「離婚や別れを切り出された」(23.4%)や「腹立ちまぎれに、喧嘩していて偶発的に」(22.8%)という加害動機によるものが最も多かった。詳しく見ると「とても愛していたから」「食事の支度をしてくれなかったから」など、あらゆる理由が登場する。これらのことから、女性に対する家父長的な「統制欲」が女性殺害の根本的な動機であることがあらわになる。

 電子足輪を外す前後に2人の女性を殺害して逮捕されたK容疑者(56)は、十数年前から女性のみを狙って犯罪を繰り返し、ついには殺人へと至ったという特徴がある。K容疑者は、1997年に強盗強姦などの性犯罪で懲役5年を言い渡されたことが知られている。2005年の仮出所直後には、再び3人の共犯者とともに30人あまりの女性に対して強盗行為を働いた。K容疑者はバイクで車を傷つけたふりをし、運転席から降りてくる女性を制圧して金品を奪い、性的暴行にまで及んでいた。芸術社会学研究者のイ・ラヨン氏は「K容疑者の事件は、女性に対して大小の犯罪を重ね、ついには殺人へと至ったという点で、韓国社会においてあまりにも軽く考えられてきた女性に対する犯罪が蓄積された結果とも考えうる」と指摘した。

 「女性であるから殺されている」という女性たちの不安に、韓国社会は答えるべきだとの声があがっている。イ・ラヨン氏は「最近の連鎖的な事件は、結局のところ家父長的な所有欲とつながっているか、女性に対する犯罪を軽視してきた韓国社会の文化とつながっているという点で『フェミサイド』としての性格を持つことは明らかだ。偶然に女性が被害者となった事件ではなく、女性であるためにこうした事件にさらされているということを、韓国社会は直視しなければならない」と指摘した。

イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/1009892.html韓国語原文入力:2021-08-31 16:33
訳D.K

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