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尹大統領、権力批判報道に「露骨な言論統制」

登録:2022-11-11 05:32 修正:2022-11-11 07:11
「MBC」記者の大統領専用機への搭乗拒否 
暴言関連報道を「歪曲」と規定 
「取材の便宜提供しない」 
批判的な報道機関に轡をはめる行為
尹錫悦大統領が10日、龍山大統領室に出勤し、記者団の囲み取材に応じている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 大統領室が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の東南アジア歴訪(11~16日)期間中、「文化放送」(MBC)取材陣の大統領専用機搭乗を許可しないと発表したことをめぐり、波紋が広がっている。批判的なマスコミに対して「操作、歪曲、偏向放送」を理由に挙げ、専用機への搭乗拒否という手段を使って取材活動に制約を加えるのは前例がないことだ。国内メディア団体と外信記者クラブなどは「言論の自由に対する明白な挑戦」だとして強く批判した。

 尹大統領は10日、MBCに対する専用機搭乗拒否決定に対する記者団の質問に「大統領が多くの国民の税金を使って海外歴訪をするのは、重要な国益にかかっているため」としたうえで、「記者の皆さんにも外交安全保障問題に関して取材の便宜を提供してきたものであり、そのような側面で受け止めていただきたい」と述べた。

 これに先立ち、大統領室は9日夜、MBCに送った通知文で「MBCは字幕操作、友好国との対立の助長の試み、代役であることを告知していない歪曲、偏向放送など一連の事態に対していかなる是正措置も取っていない」とし、「最近MBCの外交関連歪曲、偏向報道が繰り返されてきた点を考慮し、取材の便宜を提供しないことにした」と明らかにした。MBCが9月、尹大統領の米国ニューヨーク訪問中の暴言を最初に報道したことと、先月の時事番組「PD手帳」が大統領夫人キム・ゴンヒ女史の論文をめぐる物議を取り上げる際、キム女史に似た代役を使ったにもかかわらず、「再現」であることを告知しなかったという点などを理由に挙げたのだ。

 大統領室の決定にマスコミ各社は強く反発した。当事者のMBCは「特定の報道機関の大統領専用機搭乗拒否は軍事独裁時代にも見られなかった前代未聞の出来事」だとし、「言論の自由を深刻に制約する行為」だと批判した。本紙をはじめMBC、京郷新聞は大統領室の決定に抗議し、大統領専用機ではなく民間機を利用して尹大統領のカンボジアとインドネシア歴訪日程を取材することにした。

 大統領室代表取材記者団(担当記者団)も立場表明文を出し「強い遺憾を表明する。大統領室があたかも特恵を施すかのように(専用機への搭乗を)『取材の便宜の提供』とみなしていることに同意できない」として、今回の決定の撤回を要求した。

 放送記者連合会と全国メディア労働組合、韓国記者協会など8団体は緊急共同声明を発表し、「大韓民国憲政史で類例を見ない言論弾圧であると同時に、暴力であり、憲法が規定した言論の自由に対する明白な挑戦」だと批判した。東亜自由言論守護闘争委員会などベテランジャーナリスト団体とソウル外信記者クラブ理事会なども批判声明を出した。

 大統領室は「国益を損なうことが再び発生してはならないという判断から取材の便宜を制限する最小限の措置を取っただけ」だと反論した。

キム・ミナ、ペ・ジヒョン、ソ・ジョンミン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1066750.html韓国語原文入: 2022-11-1022:35
訳H.J

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