北朝鮮軍は7日、韓米合同空中演習「ビジラントストーム」(10月31~11月5日)に対抗した軍事作戦(2~5日)の内容を日付別に公開し、今月2日、蔚山(ウルサン)沖に巡航ミサイル2発を発射したと主張した。一方、合同参謀本部(合参)は「北朝鮮の主張は事実と異なる」と反論した。
北朝鮮の「朝鮮中央通信」は同日、「北朝鮮軍総参謀部報道」を通じて、ビジラントストームを「過去最大規模」で、「侵略的性格が非常に強い危険な戦争演習」だとし、「共和国の武力の軍事的能力に対する明確な自信を示し、断固たる報復の意志に必勝の確信を加えるため、対応軍事作戦を断行した」と報じた。
北朝鮮軍は2日、作戦状況について「敵が南朝鮮の『領海』近くにわが軍のミサイルが落弾したと主張し、空対地誘導弾と滑空誘導爆弾で我々側の公海上に対応射撃する妄動を犯した」とし、「咸鏡北道地域から590.5キロメートルの射程距離で、南朝鮮地域の蔚山の80キロ付近の水域の公海上に2発の戦略巡航ミサイルで報復攻撃を加えた」と主張した。
北朝鮮軍のこのような主張は、今月2日の合同参謀本部の説明とは食い違っている。当時の合同参謀本部の発表には、今月2日午前、北朝鮮の弾道ミサイル1発が東海(トンヘ)の北方限界線(NLL)を26キロメートル超え、江原道束草(ソクチョ)から東に57キロメートルの公海上に落ちたという内容が含まれていたが、北朝鮮が「蔚山沖に戦略巡航ミサイルを発射」したという内容は含まれていなかった。合同参謀本部のキム・ジュンラク公報室長はこれに対して「韓米の監視・偵察資産の探知および分析結果によると、北朝鮮の主張は事実と異なる」とし、「現在まで韓国軍に捕捉・探知されたことはない」と述べた。
韓米情報当局の弾道ミサイル探知レーダーが北朝鮮の巡航ミサイルを逃した可能性もあり、また、北朝鮮が実際に巡航ミサイルを発射していないのに発射したと主張し撹乱作戦を展開した可能性もある。
合同参謀が北朝鮮ミサイルを探知・追尾する手段は、忠清圏と釜山(プサン)に配備されたグリーンファイン・レーダーと海に配備された海軍イージス艦のレーダーだ。これらのレーダーは数十キロメートル以上高度まで上昇した後、落下する放物線を描く弾道ミサイルの探知に焦点を置いており、数キロメートル以下の低い高度に飛行する巡航ミサイル探知には限界がある。地球は丸いため、北朝鮮が発射したミサイルが一定高度以下であれば韓米情報当局の探知が難しいという。昨年9月13日、北朝鮮が最大射程距離1500キロメートルの長距離巡航ミサイルの発射実験に成功したと発表したが、当時韓米情報当局はこのミサイルの探知・追尾に失敗したという。
一方、軍当局は、北朝鮮が今月3日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行い、正常飛行に失敗したと分析したが、北朝鮮は同日の報道文にはこれについて言及しなかった。