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韓国検察、野党第1党代表狙いか…最側近の逮捕状に「大統領選資金8300万円渡す」

登録:2022-10-20 06:40 修正:2022-10-20 10:51
検察、キム・ヨン民主研究院副院長を逮捕 
大庄洞開発で民間事業者から数億ウォンを受け取った疑い 
共に民主党「前例のない野党本部への家宅捜索」反発 
検察「原則的に法執行する」ひとまず撤収
共に民主党のイ・ジェミョン代表が19日夜、民主研究院の家宅捜索をめぐり検察と民主党の対峙が続いているソウル汝矣島の党本部に入ろうとしている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 大庄洞(テジャンドン)開発特恵疑惑を再捜査している検察が、共に民主党のイ・ジェミョン代表の最側近である民主研究院のキム・ヨン副院長(56)を逮捕した。大庄洞の民間事業者側から昨年数億ウォン台の金を受け取った情況をつかんだという。検察は、この金の使途に捜査を集中するものとみられるが、その過程でイ代表まで捜査対象に含まれる可能性がある。民主党は、検察が不正な大統領選挙資金というフレームを作り上げていると激しく反発し、国会国政監査のボイコットを決めた。

 ソウル中央地検反腐敗捜査3部(カン・べクシン部長)は19日午前、政治資金法違反の疑いでキム副院長を逮捕したと明らかにした。検察はキム副院長の自宅を家宅捜索する一方、午後には検察と捜査官9人を送り、ソウル汝矣島(ヨイド)の民主研究院事務所の家宅捜索を試みた。これに対し民主党議員らは「野党第1党本部の家宅捜索は政治史で前例のない行動」だとして捜査チームを阻止し、8時間の対峙の末、同日午後11時頃検察が撤収した。捜査チームを率いたホ・スンジン副部長は「法律に基づいた法執行を進めるため最善を尽くすつもりだが、今日は遅すぎるため安全事故発生の恐れなどを考慮し撤収する」と述べた。

 検察は、キム副院長が昨年9月、大庄洞開発特恵疑惑が浮上する前に、城南都市開発公社のユ・ドンギュ元企画本部長に政治資金を要求し、その後、大庄洞の民間事業者側から数億ウォンが渡った手がかりをつかんだという。検察は、この金がイ代表の大統領選の党内予備選挙に使われたかどうかを調べている。民主党関係者は「逮捕状に2021年4~8月、大統領選挙資金8億ウォン(約8300万円)を渡した」と記載されていたと伝えた。

 検察が野党第1党代表の最側近の逮捕に踏み切ったのは、ユ元本部長の供述が決定的だったという。先月26日、検察は慰礼(ウィレ)新都市開発事業の不正でユ元本部長を追加で在宅起訴した。昨年10月の大庄洞疑惑の捜査当時、拘束起訴されて裁判を受けていたユ元本部長は、6カ月延長された拘束期間が満了し、19日午前0時頃、ソウル拘置所から釈放された。前日開かれたソウル中央地検国政監査で、民主党議員たちは「ユ元本部長を懐柔し脅迫したのではないか」「供述の見返りとして釈放されたのではないか」と問い詰めた。これに対してソウル中央地検のソン・ギョンホ地検長は、「全く(事実では)ない。別件の被疑者として取り調べを進めている。大庄洞事件は現在捜査を進めている」と答えた。ユ元本部長の弁護人は本紙に「検察は、大庄洞裁判と慰礼新都市裁判を合わせてほしいという併合申立てを裁判所に出す際、拘束を求める意見書は出さなかったと聞いている。(政治資金の件には)自分は関わっておらず、内容はわからない」と話した。

 ユ元本部長は昨年9月、検察の家宅捜索を受ける直前にキム副院長と電話で話した事実が1月に明らかになり、議論を呼んだ。これに対しキム副院長は「事実確認のために当事者と通話したのは極めて正常な行動」だという立場を示し、疑惑を否定した。キム副院長は同日、検察に逮捕された後、民主党公報局を通じて「不法資金授受疑惑は全く事実ではない。あらゆる方法で証明する」と述べた。

 検察は昨年、大庄洞関連捜査を始めた際、イ代表側とつながる手がかりを見つけることができなかった。キム副院長の逮捕で、イ代表に対する検察の圧力は一層高まるものとみられる。 キム副院長は、イ代表が京畿道知事時代に報道担当を任せた最側近だ。最近は党政策研究所である民主研究院副院長に任命された。昨年、大庄洞開発特恵疑惑が浮上し、ユ元本部長がイ代表の側近として取り上げられた際、イ代表は「チョン・ジンサン(民主党代表室政務調整室長)やキム・ヨンのレベルでなければ側近とはいえない」と語った。

 民主党は野党弾圧だとして強く反発した。パク・ホングン院内代表は「初の野党中央党本部に対する家宅捜索」とし、所属議員に国政監査を全面ボイコットし、党本部に集結するよう指示した。民主党は同日夕方、所属議員や党員、支持者らが集まった中、党本部で検察に抗議する集会を開いた。キム・ウィギョム報道担当は書面ブリーフィングを通じて「数億ウォンを受け取った疑いだというが、当事者は強く否定している。民主党としては、主張が食い違う中、事件の実体を正確に把握することは難しい。しばらくは検察の捜査の進行状況を見守らなければならない状況」だとしながらも、ユ元本部長に対する検察の懐柔・脅迫情況を取り上げ、検察捜査に対する不信感を示した。

チョン・グァンジュン、オム・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1063402.html韓国語原文入:2022-10-2002:43
訳H.J

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