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韓国の元統一部長官「戦争防がなければ…政府は軍事合意の維持を公に宣言すべき」

登録:2022-10-08 06:05 修正:2022-10-08 07:55
イム・ドンウォン元統一部長官=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 「戦争は何が何でも防がなければならない。小さな衝突が大きな戦争に広がらないようにすべきだ。そのためには、まず9・19軍事分野合意を守らなければならない」

 北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射と韓米日の軍事対応で、朝鮮半島の危機指数が急上昇している状況と関連し、イム・ドンウォン元統一部長官(90)は6日、本紙の取材に対し「互いを刺激して衝突が起きることがないように危機管理を徹底し、平和を作る努力を続けること以外には方法がない」と語った。イム元長官は南北関係を「統一志向特殊関係」と規定した「南北基本合意書」(1991年12月13日)と、史上初の南北首脳宣言である「6・15共同宣言」(2000年6月15日)採択の隠れた立役者だ。金大中(キム・テジュン)政権時代、大統領特使として訪朝し、金正日(キム・ジョンイル)総書記に5回会った。

 イム元長官は「些細な衝突が戦争に広がらないようにするという南北間の合意が、2018年(平壌南北首脳会談の時に採択した)9・19軍事分野合意」だとし、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は9・19軍事合意を守ると公に宣言し、北朝鮮にも共に守ろうと呼びかけるべきだ」と提言した。

 さらに「いま北朝鮮は朝米首脳会談と朝米関係正常化に対する期待を捨て、安全保障は核武力で、経済は自力更生で、外交は中ロとの関係強化で解決していくことを決断したものとみられる」と語った。そして「いま北朝鮮は米国との対話と交渉は無駄だと考えており、米国が関係正常化に向けた真摯な努力をするまでは期待をかけないつもりだろう」とし「(状況に変化がなければ) 北朝鮮は(7回目の)核実験も行い、ミサイル発射実験も続けるだろう」と付け加えた。

 ただし、「北朝鮮の基本的なアプローチは、金日成(キム・イルソン)主席時代から変わっておらず、朝米関係の正常化だ」とし、「米国が決断すれば(北朝鮮の態度が)変わる可能性もある」と強調した。これと関連して、イム元長官は最近発行した自叙伝『再び平和』(ポリティクス)で、金正日総書記が自分に直接、核開発の3大目的(米国との交渉力維持、抑止力の維持、政権維持)を明らかにし、朝米関係が正常化すれば「実はこれは必要ない」と言ったという秘話を初めて公開した。

 イム元長官は「この30年間、北朝鮮核問題の解決に向けた真剣な努力が3回(1994年の朝米枠組み合意、2005年の6カ国協議に関する共同声明、2018年の首脳会談に伴う朝米共同声明)あったが、3回とも解決策の公式は全く同じだ。すなわち『北朝鮮の核廃棄と朝米関係の正常化(の交換)』」だと指摘した。「北朝鮮の核問題は朝米敵対関係の産物であり、朝米関係が正常化しなければ解決できない問題だ。米国が積極的に乗り出さない限り、解決が難しい問題であり、韓国は現在、非常に難しい状況に置かれている」

2018年4月27日、板門店の南側の「平和の家」で行われた南北首脳会談の歓迎晩餐で、イム・ドンウォン朝鮮半島平和フォーラム名誉理事長(右)と金正恩国務委員長(左)が手を取り合っている。中央はキム・ヨンチョル当時朝鮮労働党中央委統一戦線部長=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 これと関連し、「韓国政府が北朝鮮だけにあれこれ言っては解決できない。米国を説得して問題を解決しなければならない」と強調した。さらに、「今は(対北朝鮮)特使や南北首脳会談を進められる状況ではない」としながらも、「まずは危機管理、戦争防止、平和づくりに励んでいれば、そのうちチャンスが訪れるだろう」と述べた。

 また、「朝鮮半島(北東アジア)冷戦構造」の4大軸(南北の不信と敵対▽朝米の敵対関係▽核など大量破壊兵器(WMD)を含む軍拡競争▽軍事停戦体制)は互いに絡み合って相互依存的であるため、一つずつ解決するのは不可能であり、包括的・段階的アプローチが必要だが、何より朝米敵対関係の解消が重要だと重ねて強調した。

 乱気流に包まれた朝鮮半島情勢を安定させ、「朝鮮半島(北東アジア)冷戦構造」を解体する新しいアプローチとして、「(南北米中の)4者平和会談」を提案した。そして、「南北関係は南北関係なりに、また朝米関係と北朝鮮の核問題はそれなりに、別々に進めてきたが、これまであまり進展がなかった」とし、「平和を作り上げていくためには、4者平和会談を進めるアプローチを取らなければならない」と述べた。さらに「問題を解決するまで長い時間がかかっても平和を作っていく過程が重要だ」とし、「4者平和会談の開催まで5年がかかるか、10年がかかるかは分からないが、4者平和会談(推進・成功)過程を通じて平和を作っていかなければならない」と力説した。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1061645.html韓国語原文:2022-10-0702:48
訳H.J

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