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[社説]日本を越えた北朝鮮のミサイル、「2017年危機」の再燃が懸念される

登録:2022-10-05 06:25 修正:2022-10-05 07:08
4日、北朝鮮が日本上空を横切って太平洋に向かう弾道ミサイルを発射したというニュースが、東京の中心街の大型スクリーンで放送されている=東京/EPA・聯合ニュース

 北朝鮮が4日、2017年9月以来5年ぶりに、日本上空を横切って太平洋に向かう中距離弾道ミサイルを発射した。2017年、北朝鮮が「グアム包囲射撃案」を発表し、威嚇した際に登場した火星12型と推定される。北朝鮮が7回目の核実験まで挑発のレベルを高めるだろうという警告音が響いている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は韓米日軍事協力の強化で対応するよう指示し、韓米は同日、精密爆撃訓練を実施した。朝鮮半島で2017年のような危機状況が再現される可能性が高まった中、韓国政府の対応能力が試験台に立たされた。

 合同参謀本部は、今回のミサイルがこれまで北朝鮮が正常角度(30~45度)で発射した弾道ミサイルの中で最も遠い距離である4500キロメートルを飛んだと分析した。平壌(ピョンヤン)からグアムまでの距離は約3400キロメートルであるため、今回の発射は有事の際に朝鮮半島に展開される米軍増援戦力の発進基地であるグアムをはじめ、米国に打撃を与える能力を誇示するのが狙いとみられる。

 北朝鮮は、米空母が釜山(プサン)に入港した先月23日以降、すでに4回にわたり短距離ミサイルを発射し、韓国に威嚇のシグナルを送ったのに続き、同日の中距離ミサイル発射で米国と日本を狙ったシグナルを送った。次の段階としては、11月の米国中間選挙などを念頭に置いた大陸間弾道ミサイルの発射や、7回目の核実験が予想される。北朝鮮が米国に対して「火星12型でグアムを包囲射撃する作戦を立てた」と公言した2017年夏と類似した局面が繰り返され、韓国の安全保障状況が大きく悪化する可能性も排除できない。

 尹大統領は同日開かれた国家安全保障会議(NSC)で、米国の拡大抑止公約の強化とともに、北朝鮮の核・ミサイルの対応に向けた韓米日安全保障協力の水準を高めるための協議を指示した。 韓米は同日午後、攻撃編隊群の飛行とともに、西海の稷島(チクト)射撃場の仮想標的を狙った精密爆撃訓練を行った。今後、北朝鮮が挑発を強めるたびに、韓国政府は米国の戦略兵器の展開やミサイル発射、韓米日共同軍事訓練などで対応し、朝鮮半島で強対強の対決が続くものとみられる。国連安全保障理事会の分裂、北朝鮮と中国、ロシアの密着などにより、北朝鮮の挑発に対応する「安全弁」が制限されている状況で、韓米日と中ロの対立が固着化する可能性も高い。南北どちらにとっても得るところがない。北朝鮮は無謀な挑発を止めるべきであり、韓国は軍事的対応を強化する一方で、長期的に対話の扉を開くための戦略的対北朝鮮政策で出口を作らなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1061351.html韓国語原文入::2022-10-05 02:38
訳H.J

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