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都心に現れたイノシシ、絶対に殺さなければならないのか?

登録:2022-08-18 03:34 修正:2022-08-18 09:03
[アニマルピープル]アピレター・プレビュー:ホンソプ'sアピラボ
2020年8月、ドイツのベルリンのある湖畔で、裸で日光浴中だった人のカバンを盗んで逃げるイノシシの姿が捉えられ、世界的に話題になった=インターネットから画像をキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 自然と動物の世界は知れば知るほど神秘的で驚異的です。アニマルピープルの週間ニュースレターを担当するデン記者(犬種:ビーグル、6歳)が、36年の経験を持つ環境専門記者、チョ・ホンソプ先任記者に不思議な動物世界について「小さな質問」を投げかけます。

//ハンギョレ新聞社

Q.デン記者の質問

 先輩、先日、ソウル都心に現れたイノシシが銀行のATMブースに閉じ込められて、結局は殺されましたよね。近くの山から下りてきたようだと言われていますけど、イノシシも戸惑っているように見えましたよ。いったいイノシシはなぜ繁華街までやって来たんでしょうね。デン記者もイノシシは怖いんですが、殺さずに解決する方法はなかったんでしょうか?

A.チョ記者の答え

 難しい問題だね。妙案を探すというより、一緒に考えてみよう。イノシシが都心に随時出没するのはソウルだけではないんだ。香港、ベルリン、バルセロナ、ヒューストンのような都市も同じなんだよ。どこも都市の中に樹木がうっそうとした公園があったり、都市の外郭に豊かな緑地があったりするところだ。欧州だけで1000万頭のイノシシがいるんだって。

 なぜ都市に出て来るようになったのだろう。根本的には都市と農耕地が増え、自然の生息地が減ったからだ。捕食者がいなくなったのも重要な理由だ。トラとオオカミは1頭が1年にイノシシを数十頭食べるんだ。

 都市がイノシシにとって魅力的な新たな生息地になっているという側面もある。栄養価の高い生ゴミがあるし、家庭菜園や庭園には柔らかな野菜や球根が食卓みたいに用意されているだろ。生活の基盤が接しているためにイノシシに敵対的な農民とは違って、動物を愛する都市民がいることも重要な理由だ。あ、ソウルではなくて外国の都市の話。韓国は農村も都市も「イノシシは死んでこそ安心」という考え方だろ。

 香港は対照的なんだ。わずか数年前までは、住宅街の道路脇で大きなイノシシが眠っている姿がたびたび見られた。食べ物をくれる人がいるから待っているんだ。韓国の野良ネコに似ていると言うか。幸運を呼ぶと信じられているから、餌をあげたり写真を撮ったり、名前を付けたりして優しく接する住民が多いんだ。

 もちろん、その町のイノシシだからといって、特別におとなしいとか、のんびりしているとかいうわけじゃない。商店街やアパートの駐車場に入ってきて大暴れしたり、人を傷つけたりもする。当然、政府は都心に入ってきたイノシシを撃ち殺す政策を数十年間展開してきたんだけど、2017年に市民の反発で変更した。メスを麻酔銃で捕まえて、避妊ワクチンを打ったり不妊手術をしたりして山の中に放すようにしたんだ。

 でも、昨年11月に当局は法を改正して「人道的処理」、簡単に言えば殺処分に戻った。民主主義の後退と関係があるのかもしれない。香港にはイノシシが2500頭もいて、被害がだんだん増えていると言うんだ。餌やりを防ぐために、摘発されれば5000香港ドル(約83万ウォン)の重い罰金を科すことになっている。

 その後どうなったか。イノシシは次々と下りてくるのに市民は撃ち殺すことを望んでいない。ベルリンには「イノシシの首都」という別名があるんだ。香港とベルリンの例を見て我々も考えてみようよ。

//ハンギョレ新聞社

チョ・ホンソプ、キム・ジスク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/animalpeople/human_animal/1054884.html韓国語原文入力:2022-08-16 13:00
訳D.K

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