新型コロナウイルスの新規感染者数が16日に初の40万人台を記録し、流行のピークに向かって突き進んでいる中、政府は私的な会合の人数制限の6人までから8人までへの緩和、営業時間のさらなる緩和を実施することを前向きに検討しつつ、日常回復を急いでいる。変化する防疫状況に合わせ、コロナを1級感染症から除外することも検討している。
16日の本紙の取材を総合すると、政府は20日に終了する現行の「6人まで、11時まで」の社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)を「8人まで、営業時間制限解除」または「8人まで、12時まで」へと緩和することを検討している。政府は16日、コロナ日常回復支援委員会を開き、ソーシャル・ディスタンシング調整案についての防疫・医療専門家、零細事業者団体などの意見を取りまとめた。今週から来週にかけて感染者数がピークに達すると予想されるが、政府は現在の医療対応システムの力量で高危険群などに対応できるとの判断から、ソーシャル・ディスタンシングの緩和を検討している。
政府のある関係者はこの日、本紙の電話取材に対し「8人へと人数を拡大することについて省庁間の意見の相違はなく、時間は午前0時か、完全に制限を解くかをめぐって議論中」とし「現在の医療対応システムは昨年12月と比べてそれほど大変な状況ではないということを考慮して、時間制限を完全に解除すべきだという意見が優勢だ」と述べた。調整案は、17日午後4時30分に首相の主宰で行われる防疫戦略会議を経て確定される。
まだ流行の拡大が続いており、感染者数と共に重症患者と死者の数も過去最多となっている状況においては、ソーシャル・ディスタンシング緩和は時期尚早だとする懸念の声もあがっている。カトリック大学医学部のペク・スニョン名誉教授(微生物学教室)は「時間や人数の問題ではなく、国民の防疫に対する態度を緩ませる信号となりうる、ということが心配だ。ピークを確認して減少する趨勢を見てから選択しても良いのに、不確実性と危険性をあえて受け入れる必要があるのかと思う」と述べた。ペク教授は「流行が緩やかに縮小したとしても、ピークの期間の長さによっては医療システムの崩壊が起きうる」と付け加えた。
現在は1級感染症に指定されているコロナの等級にも変化があるとみられる。キム・ブギョム首相はこの日午前のコロナ中央災害安全対策本部(中対本)の会議で「防疫当局は、日常的医療システムでもコロナ対応ができるように、現在は『1級』に指定されている感染症等級を変化した状況に合わせて調整することを、医療界と共に論議してほしい」と述べた。
感染症予防法の規定する1級感染症は、致命率や集団発生リスクが高いため、発生または流行時には即時通報の義務があり、陰圧隔離のような高い水準の隔離が必要だ。エボラウイルス病や新型インフルエンザなどが含まれ、コロナも1級感染症として管理されてきた。2級や3級の感染症は、発生または流行時の24時間以内の通報義務があり、2級感染症は感染拡大の可能性に応じて隔離が必要となる。4級感染症には通報義務はなく、サンプル監視機関で発生したものだけを集計するというやり方で管理する。
最近のオミクロン株への対応過程では、感染症等級と現実の防疫対策が噛み合っていないとの指摘が相次いでいる。コロナは1級感染症に指定されているものの、現場の医療措置は2~4級感染症に当たるケースが多いからだ。京畿道感染症管理支援団のパク・ゴンヒ団長はこの日の本紙の電話取材に対し「指定は1級感染症にしておいて、ある面では2級や4級の感染症水準で管理している。むしろ4級感染症に指定し、感染管理が必要な場合においては1または2級に準じて管理した方が、はるかに柔軟で効率的だ」と述べた。嘉泉大学予防医学科のチョン・ジェフン教授は「行政的負担を軽減するとともに感染症への対応力を確保するという観点から、検討は可能だと思う。しかし行政的基準を変えたからといって感染症の特性が変わるわけではないため、急激に変えるのではなく、十分な議論がなされるべきだと思う」と述べた。
中央事故収拾本部のソン・ヨンレ社会戦略班長はこの日の中対本のブリーフィングで「1級感染症システムの調整は、中長期的な側面から事前に検討に着手することになる課題」とし「今すぐ緊急に取るべき措置ではなく、今後流行がピークを過ぎ、社会が安定しだした時に改めて考えるべき」と述べ、慎重な立場を示した。防対本のチョン・トンリョン総括調整チーム長は「1級感染症が下方調整されれば、通報義務のほかにも医療費支援、防疫措置などが変化しうる」、「ただし、等級によって固定されているのではなく、疾病の特性に応じて異なる管理システムを取りうるため、調整による医療費支援の変化などは、いま断定的に語ることは困難」と述べた。
一方、中央防疫対策本部(防対本)の発表によると、16日午前0時現在、一日の新規感染者数は40万741人。前日の36万2329人(36万2338人から修正)より3万8412人多いが、聯合ニュースが集計終了3時間前の15日午後9時現在の全国の地方自治体の資料をもとに集計した44万1423人からは、むしろ4万人あまり減少している。防対本は「地方自治体が提出した名簿と疾病管理庁(が重複やミスを修正した)システム名簿が一致してはじめて集計が確定し、感染者番号が付与されるが、この部分で問題が発生した」とし「漏れの規模の確認は難しく、明日には誤りのないよう調整されるだろう」と述べた。通常、木曜日は感染確認数が多い上に、16日の集計から漏れた感染者も勘案すると、17日は感染確認数が大きく増える見通しだ。ソン・ヨンレ班長は「ピークが予測通り訪れ、準備した範囲内の医療システムで対応できれば、今回の危機がコロナ禍全般の対応過程において最後の大きな危機になると思う」と述べた。政府は流行のピークが16日から22日にかけて訪れ、ピークにおける感染確認数は1日平均31万6000人から37万2000人の範囲と予想している。