大統領府とホワイトハウスの外交安保最高参謀たちが、来年夏に開かれる東京五輪をきっかけに、膠着状態の朝米関係の突破口を開く構想を持っていることが明らかになり、実現の可能性に関心が集まっている。ロバート・オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障担当)の11月の訪韓日程も発表された。2018年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪の成功事例の再現を目指すものだが、来月行われる米大統領選挙と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を乗り越えなければならない。
大統領府のカン・ミンソク報道官は18日、ソ・フン国家安保室長の訪米(13~16日)結果について、「韓米は朝鮮半島の完全な非核化と恒久的平和構築を達成するため、朝米間対話の再開と実質的な進展を果たすための案について話し合った」とし、「ソ室長の訪韓要請を受けたオブライエン補佐官が11月中に訪韓することになった」と述べた。米大統領選挙(11月3日)の結果にかかわらず、朝米対話が行われるべきという点を大統領府とホワイトハウスの安保政策トップが再確認したわけだ。
ソ室長とオブライエン補佐官は来年7月に開かれる予定の東京五輪を朝米関係改善の機会と見る点で一致したという。オブライエン補佐官は16日(現地時間)、米シンクタンクのアスペン研究所のテレビ電話対談で、米国の対北朝鮮戦略と北朝鮮の非核化の見通しに関する質問に「我々は本当に進展を望んでいる」とし、東京五輪が機会になる可能性があると述べた。朝米対話が膠着状態に陥った後、米高官が交渉再開の時期について具体的に言及したのは初めて。「北朝鮮側は東京五輪参加に関心があると思う」とし、「五輪の前や途中または後に当事者が集まり、北朝鮮住民を繁栄とより良い経済的時期へと導く、(核の)削減と非核化に向けたいくつかの追加措置を引き出す交渉をする機会があるかも知れない」と述べた。また、「大統領選挙が終わった後、北朝鮮の人々が他の選択肢がないことに気付き、我々が交渉する機会を得ることを期待する」と述べた。
オブライエン補佐官の発言は、ソ室長との会談(14日)から2日後に出たもので、朝米関係の改善に関するソ室長の構想がかなり反映されたものとみられる。大統領府関係者は「東京五輪をきっかけにした朝米対話構想がソ室長の訪米の際に話し合われたか」という質問に対し、「朝鮮半島問題に関する様々な構想を全般的に協議した」と答え、否定しなかった。ソ室長は、2018年の平昌冬季五輪を機に、目まぐるしく繰り広げられた朝鮮半島平和プロセスの舞台裏の指揮者の役割を果たした。北朝鮮のキム・ヨジョン労働党第1副部長の訪韓と3回の南北首脳会談、2回の朝米首脳会談はいずれも平昌冬季五輪から始まった。
大統領府は、約2年前の平昌の事例を手本に、文大統領の任期後半、朝鮮半島平和プロセスの動力を再び模索する考えを持っている。北朝鮮の東京五輪出場と南北統一チームあるいは共同入場などの実務を協議する過程で、自然に南北・朝米交渉を図ることができるということだ。文大統領は今年1月の新年の辞で、「東京五輪での共同入場と南北統一チームのための協議も続けなければならない」と述べた。この過程で文大統領が提案した終戦宣言問題も自然に取り上げられるものと期待される。
ただし、このような計画はトランプ大統領が再選を果たすことを前提にしている。民主党のバイデン候補が勝利すれば、来年1月20日の就任後、対北朝鮮政策を打ち出すまで、かなり長い時間を要するものと見られる。11月のオブライエン補佐官の訪韓の波及力も制限される。COVID-19の勢いが沈静化し、東京五輪が開かれるかどうかも不透明な状態だ。