合同空中演習が急遽延期された理由とは?
15日に文大統領とエスパー長官の面会の際
事実上「練習延期」の方針固まったもよう
金委員長がいかに受け止めるかに注目集まる
朝鮮半島情勢の流れへの影響は必至
一蹴はしないと見られる
朝米の“駆け引き”に肯定的なシグナル
2017年の韓米合同演習の延期の示唆が
平昌五輪・対話の場に導いた経緯も
17日(現地時間)、韓米国防長官が電撃発表した「今年の韓米合同空中演習の延期」は、2018年平昌(ピョンチャン)冬季五輪以後、紆余曲折の中でも持続されてきた朝鮮半島平和プロセスを何とか維持したい南北米首脳の“同床異夢の中での共感”に基づいた韓米首脳の政治的決断といえる。
対北朝鮮制裁とともに韓米合同軍事演習を代表的な「対朝鮮敵対視政策」として非難してきた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が、韓米両国の「演習延期」の決定をいかに受け止めるかに、朝鮮半島情勢の流れが影響を受けざるを得ない。ただし、北朝鮮側が「米国が南朝鮮との合同軍事演習から抜けるか、演習自体を完全に中止する」ことを求めながらも、「米国防長官の(合同軍事演習を調整できるという)このような発言が(ドナルド・)トランプ大統領の考えを反映したものだと信じたい。朝米対話の動力を生かそうという米国側の肯定的な努力の一環として評価する」(14日、キム・ヨンチョル朝鮮アジア太平洋平和委員会委員長の談話)と述べており、一蹴することはないだろうというのが大方の予想だ。
マーク・エスパー米国防長官は17日、タイ・バンコクでチョン・ギョンドゥ国防部長官と会談し、今年の韓米合同空中演習の延期を公式発表した。当初韓米は、15日にソウルで韓米安保協議(SCM)を開き、大規模な合同空中演習「ビジラントエース」の代わりに11月中に実施する計画だった演習の規模などを調整するための協議を続けていくことにした。当時、チョン・ギョンドゥ長官は「朝鮮半島の非核化と平和を定着させるための方向で、最適な決断を下す」としたが、韓米は結局、演習の延期という結論を下した。エスパー米国防長官は15日、大統領府で文在寅(ムン・ジェイン)大統領に会ったが、その際、演習の延期に方向を固めたものと見られる。実際、大統領府関係者は「(演習延期の決定は)国防長官だけで決められる事案ではないだろう」と述べ、文大統領とエスパー長官との会談の際、事実上「演習延期の決定」が決まったことをほのめかした。
韓米のこのような決定は、韓米合同空中演習の強行を「対決宣言」と規定したクォン・ジョングン北朝鮮外務省巡回大使の談話(6日)→6・12シンガポール合意の「露骨な破棄、全面否定」だとし、ドナルド・トランプ米大統領を狙ったかのように「裏切られた」と言及した史上初の北朝鮮国務委員会報道官談話(13日)→「外交的必要性によって演習態勢をさらに多く、またはさらに少なく調整する」としたエスパー米国防長官の回答(13日)→「任意の場所・時間に、米国と向かい合う用意」を明らかにしたキム・ミョンギル朝米実務交渉首席代表の談話(14日)→「米国側の肯定的な努力の一環として評価したい」と述べたキム・ヨンチョル・アジア太平洋委員長の肯定的な回答(14日)という流れの中から出た。
朝米がそれぞれマスコミ報道などを通じて公開的なメッセージをやりとりする一方で、水面下では12月中に朝米実務協議の実現などに向けて“駆け引き”をしているものと見られている。北朝鮮は同日午後、「外務省報道官談話」を発表し、国連の北朝鮮人権決議案の採択を激しく非難し、「米国が敵視政策を撤回する問題が対話の議題に含まれるならともかく、その前に核問題が論議されることは絶対ないだろう」と述べ、神経戦を予告した。
韓米合同演習の公式中止または延期の決定は破壊力が大きい。これに先立ち、朝鮮半島情勢が戦争危機の一歩手前まで突き進んだ2017年末、文大統領が平昌冬季五輪を控え、朝鮮半島の緊張緩和に向けて韓米合同演習を延期する可能性を公表(12月19日)し、情勢の行方を交渉の方に大きく変えるきっかけを作った。これは、金正恩委員長が平昌五輪に北朝鮮代表団の派遣の用意があることを表明する新年の辞(2018年1月1日)と、トランプ大統領の合同演習の延期への同意(1月4日)につながった。その後、南北首脳会談が3回、朝米首脳会談が歴史上初めて開かれるなど、朝鮮半島に平和ムードが作られた。北朝鮮が「敵対行為」と規定する韓米合同軍事演習の延期、中断が対話の場を開いたのだ。