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[社説]南北のビラ散布はいずれも百害あって一利なく、時代錯誤

登録:2020-06-22 06:48 修正:2020-06-22 10:34
朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は6月20日、対韓国ビラの束と住民らがマスクをつけてビラを印刷・整理する写真を数枚公開した/聯合ニュース

 南北がビラ散布をめぐって連日鋭く対立している。対北朝鮮ビラ散布に対抗し、北朝鮮は大規模な“報復ビラ”散布の準備に乗り出した。脱北民(北朝鮮離脱住民)団体である自由北韓運動連合は、朝鮮戦争70周年を迎え、25日前後に対北朝鮮ビラ100万枚を散布する計画だ。南北いずれも百害あって一利なしで、時代錯誤な“ビラ戦”を直ちに中止すべきだ。

 今月20日、統一部が北朝鮮の対南(対韓国)ビラ散布計画の中止を求めたが、21日の朝鮮労働党統一戦線部報道官の談話は、対韓国ビラ散布の意思を再確認した。すでに崩壊した南北関係を考慮して計画を変更するつもりは全くなく、易地思之(相手の立場に立って考える)で同じようにやられてこそ、北朝鮮が感じる嫌悪感と不快感を思い知ることができるという主張だ。

 脱北民団体の「クンセム」が19日、コメの入ったペットボトルを北朝鮮に送る計画を保留した背景には、対北朝鮮ビラ散布に反対する世論の力が大きく作用した。韓国政府は、脱北民団体による対北朝鮮ビラ散布を強く取り締まっており、共に民主党は対北朝鮮ビラ散布禁止法の制定に乗り出している。

 北朝鮮としては、韓国の遅い対応に不満を抱いているかもしれないが、対韓国ビラ散布で対抗するのは、南北関係をさらに消耗的な対立に追い込むという懸念が大きい。自由北韓運動連合も南北衝突の火付け役になってはならないという世論を考慮し、対北朝鮮ビラ散布を取りやめるべきだ。

 対北朝鮮ビラと対韓国ビラはいずれも南北関係に百害あって一利なしである点では同じだ。特に、北朝鮮が公開した対韓国ビラの内容は眉をひそめさせるものだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領を堂々と嘲弄し、侮辱する内容が書かれていることを見ると、韓国の内部事情について誤解しているようだ。このようなビラは、南北和解協力を支持する韓国国民をも北朝鮮に背を向けさせる危険性が高い。

 北朝鮮当局がビラ散布を主導するのも問題だ。対北朝鮮ビラは一部の脱北民団体によってばら撒かれたものだ。一方、対韓国ビラは「激怒した民意に応じた」措置を装ったものの、事実上、北朝鮮社会全体が公開的に大規模散布に乗り出している。

 最近、韓米の保守側から対北朝鮮軍事強硬策を求める声が上がっているのも懸念すべきことだ。米国の戦略爆撃機が東海に出撃し、朝鮮半島周辺の米戦略兵器の配備や韓米合同軍事演習の再開、米国のミサイル防衛(MD)計画の参加、国軍戦時作戦統制権移管の延期を求める主張などが相次いでいる。南北のビラが、彼らに朝鮮半島における軍事的緊張を高める口実を与えることになってはならない。南北のビラいずれも、朝鮮半島の平和と南北住民の日常を脅かす愚かな行動にすぎない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/950313.html韓国語原文入力:2020-06-2 02:39
訳H.J

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