文在寅(ムン・ジェイン)大統領が新年の第一声で「どんな権力機関も国民の上に存在することはできない」として「権力機関が国民の信頼を得ることができる時まで法的・制度的改革を止めない。国民が選出した大統領として憲法に従って権限を尽くす」と明らかにした。文大統領は2日、ソウル中区(チュング)の大韓商工会議所で開かれた「新年合同挨拶会」で「新年にはもっと“確かな変化”を作り出す」とし、権力機関の改革と公正社会の建設を誓った。
文大統領はこの日開かれた新年挨拶会で「権力機関が自ら改革において先頭に立つことを期待する」とし、「また、国民が選出した大統領として憲法に従って権限を尽くす」と語った。高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の新設と検察・警察捜査権の調整による検察の反発を突破するために、大統領が合法的に行使できる人事・業務指揮権を積極的に行使するという意味と解釈される。挨拶会にはユン・ソクヨル検察総長も参加し、文大統領の演説を聞いた。
大統領府関係者は「検察が自ら改革できずに公捜処と検警捜査権調整などを妨害すれば、人事権などを含めて大統領権限を行使するということ」だと説明した。また別の主要な関係者は「憲法に従って権限を尽くすということは、人事権行使を意味するのか」という質問に「(それに)限定されない」と明らかにした。
これに先立ち、文大統領はこの日の朝7時にチュ・ミエ法務部長官に対する任命を裁可した。午後、チュ長官を呼んで任命状を与える席では「検察改革の開始は捜査慣行や捜査方法、組織文化まで革新的に変えることだと思う」と具体的な方向まで提示した。国会が公捜処設置法案を通過させ、検警捜査権調整法案の処理を控えている中、“鉄は熱いうちに打て”とばかりに文大統領が検察改革の手綱を強く握ったわけだ。
文大統領はその後、チュ長官と歓談し「二度とない機会だ。極めて重要な時期に大変重要な仕事を務めることになった」とチュ長官の使命感を励ました。文大統領は「国民の熱望により、公捜処設置、検警捜査権調整という法的・制度的改革の作業が極めて強い生みの苦しみを経て進められている」とし、「立法が終わった後も、その変わった制度をちゃんと定着させて正常に運営されるようにするには、立法過程で行ったことに劣らず多くの努力が必要だろう」と述べた。
検察改革に必要な権威と権限をチュ長官に握らせるという意思も明確にした。文大統領は「法律規定には法務部長官が検察事務の最終監督者となっているだけに、その規定の趣旨に従って検察改革作業をうまく導いてほしい」とし、「検察改革の開始は、捜査慣行や捜査方式、組織文化まで革新的に変えること」だと繰り返し注文した。
チュ長官は「人権を重視する検察捜査」を強調して文大統領の注文に応じた。チュ長官は「メスを患者に何度も刺して病気の原因をえぐり出すのが名医ではない。正確に診断して正確な病気の部位を適切に探し出すのが名医だ」として「捜査権と起訴権を持つ検察が人権は後回しにしたまま、むやみに刺して望みの結果を得たと言っても信頼は得られない。人権を重視して正確に犯罪を診断して戒めるのが検察本来の役割」だと語った。ソウル中央地検が去年チョ・グク前法務部長官と周辺を“重箱の隅をつつくように”捜査して起訴したことを当て付けたものと解釈される。
この日、文大統領は12月30日にチュ長官に対する国会人事聴聞会が終了してからわずか3日後にチュ長官任命を断行した。国会に提示した再送付期限が終了してわずか7時間だった。続いて、新年最初の公式日程である朝の顕忠院参拝にチュ長官を参加させ、午前11時に主な政官界関係者が集まった政府新年合同挨拶会にもチュ長官の席を設けた。昨年10月のチョ・グク前長官辞任後、80日を超えて続いた長官空白の事態を一日でも早く終決させるという意思表明によるものと解釈される。
また別の大統領府関係者は「国会で3日あるいは6日頃に検警捜査権の関連法案が通過すれば、法務部長官はそれによる施行令改訂など実務的に推進することが多い。もう一つは、現在高等検察庁長級の席が6席空いているため、人事を行わなければならない」と早期の任命の背景を説明した。