キム・ミョンス最高裁判所(大法院)長官が久しぶりに公開の席に出て、司法改革関連立法が遅滞していることに対して「残念だ」と遺憾の意を示した。選挙法と検察改革法案が国会のファストトラック(迅速処理対象案件)に取り上げられ、政界内外の関心が集中する一方、裁判所組織法改正などに対する議論は事実上失踪している状態だ。昨年の司法壟断事態で司法改革に全国民の関心が集中したことを考えると、激しく移り変わった無関心だと言わざるをえない。司法部に対する国民の信頼が相変わらず不十分な状況で、司法改革の立法が必要なのは言うまでもない。このような点でキム最高裁長官の遺憾発言は、むしろあまりに遅くに出てきたと言える。これに対する司法部の責任も再び喚起せざるをえない。
キム最高裁判所長官は、この日開かれた全国裁判長会議で、今年一年「司法行政制度の改善だけではなく、裁判長候補推薦制、高等裁判所部長判事の新規補任中断を含む裁判と人事システムの改革などを粘り強く推進してきた」として「来年も改革の方向を維持しながら立法の完成を推進する」と明らかにした。彼は就任後、高位裁判官などの内部の抵抗の中でも、それなりの制度的改革のための試みを行なっていたのは事実だ。しかし、その限界も明らかだ。
キム最高裁判所長官はこの日、「立法の後押しが必要な高等裁判所の部長判事昇進制度の廃止、水平的議決機構としての司法行政会議の新設など、一部の争点が実を結べなかった点は極めて残念だと思う」と明らかにした。国会で係留中の裁判所組織法の司法行政会議新設案は、“キム・ミョンスの司法改革”の成果と限界を同時に示す代表的な事例だ。
キム最高裁判所長官が掲げた「国民と共にする司法発展委員会」は、「帝王的最高裁長官」体制の弊害を正そうとするなら何より裁判所事務総局をなくすのが最重要だと見て、その代わりに議決・執行権限を有する司法行政会議を設置する案を勧告した。しかし、キム最高裁長官は内部意見の集約を名分にこれを審議・議決機構に格下げし、構成も内部と外部で5対5ではなく6対4に変えるなど、改革の意味を損なった。司法改革の立法が遅滞する最大の責任は、もちろん国会にある。しかし、立法への動力を得られなかったのは、“国民の信頼”より“組織の安定”を選んだキム最高裁長官の“半欠けの改革の意志”によるところも大きい。キム・ミョンスの最高裁判所は、再び国民の関心と信頼を集められる案を今からでも熟考してほしい。