高位公職者犯罪捜査処(公捜処)設置法案が30日、国会本会議を通過した。高位公職者の犯罪を専門担当する公捜処の設置により、1954年の刑事訴訟法制定後、かたく維持されてきた検察の起訴独占体制に風穴が開いた。中立性を強化できる施行令が用意され、公捜処長などの組織構成が終われば、7月頃に公捜処がスタートできると見られる。
国会はこの日午後6時、本会議を開き、在席177人のうち賛成160人、反対14人で“4+1”(共に民主党・正しい未来党・正義党・民主平和党+代案新党)協議体が合意した公捜処設置法修正案を可決した。自由韓国党の議員は表決に参加せず、民主党のクム・デソプ議員と正しい未来党のキム・ドンチョル、イ・サンドン議員は棄権した。
コ・ミンジョン大統領府報道官は、法案通過直後に論評を出し、「この法案に含まれた国民の念願、牽制と均衡という民主主義の理想に照らしてみれば、歴史的な瞬間であることは間違いない。公捜処が権力に対する牽制と均衡という時代の要請を成しとげることに支障がないよう、文在寅(ムン・ジェイン)政府はすべての努力と誠意を惜しまないだろう」と明らかにした。
この日の公捜処法通過により、憲政史上初めて検事の犯罪を直接捜査し起訴する別途の機関が誕生することになった。公捜処の捜査対象は、高位公職者のみならず、その配偶者と直系尊卑属の犯罪まで広範囲に及ぶが、全体の規模で見れば7千人を超えると予測される。検事、判事、警務官級以上の警察官(11階級の上から4番目)に対しては、直接起訴まで行う。強力な検察牽制機構としての地位を確立したことになる。
これまで検察は、高位公職者の犯罪疑惑に対して捜査の開始、終結、起訴などの権限を独占的に行使し、強大な権力を振り回したという指摘を受けてきた。公捜処がこの権限を分けて持つことになることで、検察の権力化を防ぐ強力な牽制効果を期待できるという評価もある。慶煕大学法学専門大学院のソ・ボハク教授は「検察が起訴権という独占権力を利用して、他人の不正は捜査して自分たちの不正は隠してきた。検事も捜査対象になることで、検事らの不正に対しても加減のない捜査と起訴がなされると期待する」と話した。
ただし、一部では公捜処が法務部の統制を受ける検察とは異なり、いかなる部署の牽制も受けないために、絶対的な権力機関になりかねないとの憂慮もある。これに対してキム・ナムジュン法務・検察改革委員長は「検察には検事が2200人いるが、公捜処には検事が25人しかいない。検察の100分の1の規模である公捜処が、絶対的な権力機関になることは考えにくい」と話した。彼は「検察は法務部の牽制を受けるが、外部機関の牽制はほとんど不可能な状況だ。ところが、公捜処の過ちは検察や警察がいくらでも捜査できる」と付け加えた。
公捜処の規模を過度に減らしたために機能することが難しくなったという憂慮も出ている。ソ・ボハク教授は「法務・検察改革委員会が出したものより規模が大きく減った。ひとまずはスタートすることが重要だが、今後法改正が必要だ」と話した。
一方、この日の本会議では、来年度予算案の運用と関連して政府が提出した同意案3件も共に処理された。来年度予算案および関連同意案、予算付随法案がすべて国会を通過した。