最高裁判所(大法院)は、国家情報院(国情院)が、女性労働者が多数を占める分野の定年を男性労働者が多数を占める分野の定年より短く定めたのは不合理な差別だとする判断を下した。
最高裁2部(主審パク・サンオク最高裁判事)は、公務員地位確認訴訟を起こしたAさんら元国情院職員2人の上告審で、原告敗訴判決を下した原審を破棄し、ソウル高等裁判所に差し戻したと10日明らかにした。
Aさんらは1986年から2010年まで、国家情報院で出版物を編集する仕事をしていた。正規職で行政補助職群入力作業職列だったが、1993年末からは電算写植職列所属に転属となった。1999年3月、構造調整で電算写植職列を含めた6つの職列が廃止され、契約職員となった。その後は毎年契約を更新しながら働き、電算写植職列勤務の上限年齢である満43歳となった以降も2年勤務し、その契約期間が満了した2010年にそれぞれ退職した。
Aさんらは退職の根拠となる国情院の内部規定が両性平等違反とし、2012年に提訴した。内規によると、女性のみが従事する電算写植、入力作業、電話交換、案内職列は勤務の上限年齢が満43歳で、男性のみが従事する営繕(建築物保守)、園芸職列の満57歳より14年も早い。
一審はAさんらの退職の根拠になった勤務の上限年齢規定を両性平等に反する違法な規定とは見なさなかった。二審は定年を別に定めたことが男女差別なのかどうか判断しなかった。ただ、原告らは契約期間が満了して退職したと見なしている。
しかし最高裁は「事実上、女性専用職列として運営されてきた電算写植分野の勤務上限年齢を、事実上男性専用職列として運営されてきた他の分野の勤務上限年齢より早く定めたことに合理的な理由があるかどうかは国家情報院長が証明しなければならず、これを証明できなかった場合は男女雇用平等法および勤労基準法に違反し、当然無効と見なければならない」と指摘した。合理的な理由なしに性別を理由に差別する規定は、男女雇用平等法と勤労基準法に違反して無効だということだ。また最高裁は、国情院の内部規定は旧国情院法や国情院職員法などの上位法令に具体的な根拠がないとし、行政内部での効力もないと述べた。
原告代理人である公益人権法財団「共感」のユン・ジヨン弁護士は「女性と男性の職列を分離し、事実上定年を別に定めた間接差別は男女差別だということだ。特に国家機関の定年差別に対する初の最高裁判断であり、契約職員に対しても定年を判断する必要があると見なしている点で有意義」と指摘した。