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[ニュース分析] 「所得代替率50%・基礎年金強化」巡り激しい議論を予告

登録:2015-05-29 23:19 修正:2015-05-30 08:17
 「公的年金の社会的機構」もすぐ発足
ユ・スンミン・セヌリ党院内代表(左)とイ・ジョンゴル新政治民主連合院内代表が28日午後、国会セヌリ党院内代表室で公務員年金改革案の本会議処理を交渉するために会って話をしている=イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

 29日未明、公務員年金法改正案が長い攻防の末、本会議を通過したことで、公務員年金法通過の連携条件だった「公的年金の強化および老後貧困解消のための特別委員会」および「社会的機構」も始動することになった。

 しかし、与野党間の交渉過程で最大の争点となっていた国民年金所得代替率の引き上げをはじめ、基礎・退職年金などの公的年金制度全般が交渉のテーブルに載せられる予定だが、活動期間が5カ月に過ぎないうえ、与野党の意見が大きく異なることから、目に見える成果をあげられるかは未知数だ。

■5カ月で公的年金の全般にメス

 国会はこの日、公務員年金法改正案と一緒に「公的年金の強化および老後の貧困解消のための特別委員会を構成する決議案」と「社会的機構の構成及び運営に関する規則案」も本会議で議決した。与野党は、すでに今月2日、「韓国の高齢者貧困率(48.6%)を今後30年にわたり、経済開発協力機構(OECD)の平均レベル(12.8%)以下に下げる」という目標の下、「公的年金の強化のための社会的機構」を設けて、国民年金死角地帯の解消、老後の備え脆弱階層支援策などを議論することに合意した。また、公務員年金法改編による財政削減額の20%を、社会的機構で議論される予定の公的年金制度の改善に活用することで意見の一致を見た。社会的機構は共同委員長2人を含めて、与野党が推薦する学界・専門家グループと公務員など20人で構成され、社会的機構で議論された事項は、国会公的年金強化特別委員会で審査・議決された後、11月の本会議で処理される予定だ。

 公務員年金改正案とともに通過
 10月まで公的年金の改善案の議論予定

 与野党「50%案」めぐる意見の隔たりにより難航予想
 アン・チョルス 「基礎年金の強化が重要」
 野党の一部では他の見解も

■保険料引き上げ・基礎年金巡り“激論”予告

 社会的機構では、何よりも「国民年金所得代替率の引き上げ」をめぐり、与野党が激しく議論を繰り広げるものと見られる。新政治民主連合は老後の所得保障の中核として「所得代替率50%」を挙げている一方、セヌリ党は、保険料引き上げに否定的な世論を理由に難色を示している。与野党は「所得代替率50%」を社会的機構の規則の中に「義務条項」として盛り込む代わりに、「妥当性を検証して諸般事項を議論」するという文句で折衝しており、今後の議論の過程では難航が予想される。

 これと共に65歳以上の高齢者のうち、現在の所得下位70%に10万〜20万ウォン(約1万1165~2万2330円)ずつ支給される基礎年金も重要な争点として浮上する見込みだ。野党の一部でも、「国民年金所得代替率の引き上げ」よりも「基礎年金の強化」に重点を置く見方もある。アン・チョルス新政治連合元代表はこの日、声明を出し、「現在の高齢者人口の3分の2は、国民年金をもらっていない」とし「今の状況では、国民年金の名目所得代替率引き上げよりも基礎年金の強化が当面の高齢者貧困を解消するのに役立つだろう」と述べた。しかし、加入者が出す保険料に基づく国民年金とは異なり、基礎年金には、財政が投入されるうえに、朴槿恵(パク・クネ)大統領が大統領選挙公約を縮小(100%→70%)した代表的な事例であるため、与野党議論の議題になれるかは未知数だ。しかし、公務員年金改革実務機構の共同委員長を務めたキム・ヨンミョン中央大学教授はハンギョレとの通話で「国民年金所得代替率を議論する過程で、基礎年金・退職年金などが幅広く議論される可能性もある」と述べた。

チェ・ヒェジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力::2015-05-29 20:00

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/693490.html  訳H.J

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