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展示を阻まれたサムスン電子「白血病少女像」

登録:2014-11-10 23:06 修正:2014-11-11 06:18
「もう一人の少女」彫刻像。サムスン電子半導体工場で仕事をして白血病で亡くなったファン・ユミさんをモデルとして作られた。//ハンギョレ新聞社

大学生が被害労働者をモデルとして製作
サムスン無災害塔の脇に展示していたが
人目に付かないところに移され
教授「産学協力の機会を失いかねない」

 サムスン電子は3年連続で京畿道水原(スウォン)市にあるサムスンデジタルシティ内で環境彫刻展示会を開いている。ソウル市立大学環境彫刻学科4年の学生たちが、専攻必修科目の受講中に作った作品を展示している。今年は6月19日から先月まで32点が各所に展示された。

 この学科の学生パク・ユジンさん(26)が「もう一人の少女」の像を作った。サムスン電子半導体工場で働き白血病で亡くなったファン・ユミさんをモデルにした。作品は日本軍慰安婦にさせられた少女が左側の椅子に、白血病に罹ったサムスン電子労働者が中央の椅子に座り、右の椅子は空いている形で構成された。 パクさんは10日「慰安婦少女像は戦争中に最も弱い存在である女性が被ったおぞましい歴史の象徴だ。今日の資本の戦争の中で、若い女性たちは労災で亡くなっている。 弱者を保護しないならば空いている椅子に“もう一人の少女”が座ることになるという意図を込めた」と説明した。

 パクさんは当初、作品をサムスンデジタルシティ内の無災害記念塔の脇に展示した。 自ら選んだ場所だった。 彼女は「皮肉な現実を反映するのに適切な場所だった」と話した。 だが数日もたたないうちに授業を担当するアン教授が「場所を変えよう」と言ってきたという。パクさんは拒否したが、しばらくしてから作品を移すことになったという通知を受けた。アン教授は『ハンギョレ』との通話で「作品を否定的に考えるサムスン役職員もいた。展示協約書に従い鑑賞者の立場も考慮して展示しなければならない。 支援を受ける立場なので、一人の学生のために他の学生たちが産学協同の機会を逃しかねない。 教授会議を開いて移して展示することを決めた」と話した。パクさんは「作品を移した場所は、人目につかないところ」だと話した。 現在、作品は足首部分が一部毀損されて倉庫内に保管されている。

 サムスン電子側は「意図的に作品を移すくらいなら初めから展示しなかっただろう。 展示場所の移転はアン教授の自主的決定」と説明した。 サムスン電子のある役員は「これまで展示会を支援してきたが、社会的イシューを扱った作品は初めてだ。 場所が刺激的だと考えて教授が自らの判断でモバイル研究所側のスマートパークに移したものと理解している」と話した。 彼は「雨に降られた結果、紙などで作られた作品が一部毀損された。先月中旬にパクさんの作品を含めて耐久性に欠ける5個の作品を倉庫に移した」と話した。

 この消息を聞いた半導体労働者の健康と人権を守る団体であるパンオルリムは「パクさんの作品を適切な場所を見つけて展示する」と明らかにした。

キム・キュナム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/663832.html 韓国語原文入力:2014/11/10 22:18
訳J.S(1385字)

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