サムスン電子の工場などで仕事をして白血病のような稀少・難治性疾患に罹ったり亡くなった人々の家族とサムスン側の交渉は、第三者調停委員会の構成が予想より長びき睨みあいが続いている。
家族対策委員会とサムスン側が構成に合意した調停委員会の委員長を任されたキム・ジヒョン弁護士(元最高裁判事)は20日『ハンギョレ』との通話で、「被害者の方々の意見が分かれた状態なので、調停委員の選任に困難を来している」として「社会的に人望があり、広く信頼を得られる方々に委嘱しようと考えている」と話した。 当初、交渉をリードした「半導体労働者の健康と人権を守るパンオルリム」(パンオルリム)から6家族が脱退して別途に家族対策委員会を作った後、両者の意見差異が狭まらない状況であり、両者を合わせた調停案を出すことに負担を感じた人々が調停委員を引き受けようとしないためだ。
当初膠着状態にあったサムスンとパンオルリムの交渉は、今年5月にクォン・オヒョン サムスン電子副会長の謝罪により進展を見せた。以後、サムスン白血病問題に対する真剣な謝罪、被害者に対する適切な補償、再発防止対策の準備という三つの争点を巡ってサムスンとパンオルリム側の交渉が本格化した。 そうしている間にパンオルリム交渉団に参加していた被害者8家族のうち6家族が、今年8月にパンオルリムと意見の差異のために抜け出て別に‘家族対策委員会’を作った後、交渉の構図が複雑化した。
家族対策委員会は三つの議論主題のうち解決可能な一つでも調停委員会で先に議論しようという態度だ。 ソン・チャンホ家族対策委代表は「補償でも再発防止でも謝罪でも順序は関係ない。 再発防止対策も調停委員会を通じて他の人々が見ても良いと思う案を作り出そうと考える」と話した。
パンオルリム側はあえて調停委員会という第3機構を通じてサムスンと対話しなければならない理由はなく、補償問題だけを先に議論すれば再発防止対策などがうやむやになる憂慮が大きいと見ている。 パンオルリム交渉団のコンユ・ジョンオク幹事は「私たちはすでに三つの案件に関連する意見を出した。 サムスン側がこれに対する見解を明らかにすればいい。 第3機構を通した対話は(サムスン側の)時間引き延ばしに終わる可能性が高い」と話した。
一方、これまでパノルリム側と共に労災申請をするなど、サムスン職業病問題に共同対処してきた被害者家族37人は、19日「パンオルリム協議案を支持する。サムスンは今からでも誠実に交渉し、きちんとした対策を約束せよ」と要求した。