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日常の「キルスイッチ」、AIアカウント停止【コラム】

登録:2026-06-19 09:00 修正:2026-06-19 09:45
アンソロピックは9日(現地時間)、生物兵器の製造法やハッキングなどのセンシティブなテーマに「安全装置」を適用した次世代人工知能(AI)モデル「Claude Fable 5」を一般公開した/AFP・聯合ニュース

 ロシア・ウクライナ戦争初期の2022年、ロシア軍はウクライナ南部の物流の要衝であるメリトポリを占領し、ウクライナ最大の農業機械供給会社「アグロテック・インベスト」の代理店を襲撃した。狙いは最先端の米国製農業機械だった。人工知能(AI)のカメラセンサーと超精密GPSを備え、完全自律走行で畑を耕すトラクター、車輪が土壌を感知し、種ごとに適切な深さに植え付ける播種機、収穫と同時に穀物のたんぱく質の含有量や水分率を測定し、脱穀速度も自動調節するコンバインなど27台で、総額は500万ドル(約8億1000万円)。ロシア軍は1100キロメートル離れたチェチェン共和国にまでこの「戦利品」を搬送したが、米国本社が遠隔で「非活性化」すると、ただのスクラップの山になってしまった。遠隔非活性化装置、別名「キルスイッチ」の恐ろしさを示した事件だ。

 もし、戦闘機でこのような事態が起きるとすればどうなるだろうか。国防・安全保障分野では、キルスイッチは外国の技術に依存する場合に生じうる脅威の要因だ。昨年、欧州では「米国製戦闘機にはキルスイッチが隠されている」という疑惑が広がった。米国のトランプ政権がウクライナに対する軍事支援を打ち切ると圧力をかけていた時期、ウクライナに提供されたF-16戦闘機が、アップデートのサポートの遅れによって、運用中断を余儀なくされたためだ。メーカーは「キルスイッチはない」と否定した。しかし、キルスイッチがないとしても、同盟国は戦闘機の購入後も、クラウド基盤、衛星航法システム、ソフトウェアの面で供給元に依存せざるを得ない。

 キルスイッチは必ずしも戦場の話だけというわけではない。イスラエルのネタニヤフ首相の逮捕状を発行したという理由で米国の制裁対象になり、米国のIT企業のサービス利用を遮断された欧州在住の国際刑事裁判所(ICC)の裁判官たちの日常は、完全に混乱に陥った。たとえば、こうしたことが起こる。朝の出勤途中にコーヒーを買おうとすると、Apple Payが使えない。クレジットカードは「Visa」や「Mastercard」との連携のため使えない。フランス出身のギヨー裁判官は「フランスの金融・デジタルサービスの大部分が米国のものであるため、ATMの一部からも、決済網の問題で現金を引き出せない」と述べた。グーグルのEメールアカウントは閉鎖され、業務用連絡ツールのSlack、メッセンジャーのWhatsApp、テレビ会議アプリのTeamsやZoomも利用できない。判決文を作成したグーグル・ドキュメントには接続できず、助言を求めていたChatGPTのアカウントは停止した。ネットフリックス、Apple TV、アマゾン・プライム、YouTubeを起動すると、「アカウントが停止しています」というメッセージが表示される。スロベニア出身のホーラー裁判官の場合、知人がアマゾンを通じてクリスマスのプレゼントを送ると、その知人のアマゾンのアカウントまで停止された。フィナンシャル・タイムズは「米国がいわゆる『キルスイッチ』を使い、国境を越えた欧州の利用者の日常をいかに迅速に麻痺させることが可能なのかを示している」と指摘した。

 最近、トランプ政権がアンソロピックの最新のAIモデル「Claude Fable 5」に対し、米国市民権を持たないすべての者のアクセスをただちに遮断するように命令した。この事態は最近、主要7カ国首脳会議(G7サミット)の議題にまで波及し、欧州が重要な技術で米国への依存度を減らし、技術主権を強化すべきだとする警戒心を強めるきっかけとなった。欧州連合(EU)欧州委員会のビルクネン首席副執行委員長(技術主権担当)は「AIのような重要技術において、特定の企業や第三国に依存することは望ましくない」と述べた。重要技術を持つ国の顔色をうかがいながら、「アカウント停止」のことばかりを心配するわけにはいかないということだ。

//ハンギョレ新聞社

チョン・ユギョン|国際ニュースチーム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1264253.html韓国語原文入力:2026-06-18 19:34
訳M.S

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