イーロン・マスク氏は、「グロック」シリーズが短期間でオープンAIの「ChatGPT」の性能に追いついたと自評し、その秘訣として人工知能(AI)データセンターを挙げた。テネシー州メンフィスにNVIDIA(エヌビディア)のAI半導体(GPU)「H100」を10万個連結したH100クラスターをわずか122日で構築し、グロック3を学習させたという。最近になって20万個までGPUの規模を拡大した。
人々が驚いたのはその規模だ。1GPUあたり4万ドルにもなる価格にもかかわらず品薄現象を引き起こし、数カ月は待たなければならないNVIDIAの代表的な高性能GPUを、迅速かつ大量に確保したからだ。生成AIのモデルを学習させるのに必須のGPUであるH100の確保個数がAI企業の見通しを示すという見方まで出てくるほど、国際的な巨大IT企業による購入競争は激しい。マスク氏はグロックシリーズの開発初期の2023年、「GPUは麻薬より確保が難しい」と不満を漏らした。マスク氏は、今年の夏までにNVIDIAの次世代GPUであるB200を30万個確保する計画を明らかにしたが、これはH100に比べて20%ほど高く、必要な費用だけで90億ドル(約1兆4000億円)にのぼると推定される。オープンAIの「GPT-4o」にはH100が1万5000個使用されている。
マスク氏の生成AI開発企業のxAIは、後発組として不利な状況から物量攻勢で追いついた。中国では、米国の輸出規制によってH100の供給制限を受けながらも生成AIの「ディープシーク」が登場し、衝撃を与えたが、業界は現時点ではNVIDIAの高性能GPUの確保がAI技術の先頭を走るうえでは絶対的だとみている。
特に巨大IT企業は、NVIDIAの最新GPUを用いたデータセンターを作ることに専念している。国際的な市場調査機関「オムディア」によると、マイクロソフトは昨年、48万5000個のH100を購入し、メタは約22万4000個、xAIは約20万個を購入したと推定される。マイクロソフトはオープンAIに合計130億ドル(約2兆円)投資した。
一方、韓国におけるH100の個数は3000個前後だと業界は推算している。科学技術情報通信部傘下のソフトウェア政策研究所の調査では、2023年末時点での韓国内の主なAI企業が保有するH100は合計1961個で、その後、NHNクラウドなどが1000個ほど確保したとされる。
世界のAI3大強国を目標とする韓国政府も、GPUの早期確保に乗り出した。政府は高性能GPUを今年中に1万個、来年上半期までに合計1万8000個を確保する方針だ。確保したGPUは年内に構築される「国家AIコンピューティングセンター」に置かれる予定だ。国家AIコンピューティングセンターは、2027年に正式にオープンする予定だが、確保したGPUでサービスを早期に開始することを目標としている。国会科学技術情報放送通信委員会の委員たちは9日午前、京畿道城南市(ソンナムシ)のネイバー本社を訪問し、「大韓民国がAI強国に跳躍できるよう、政策的支援と制度の整備に積極的に取り組む」とする内容の与野党合意の声明を発表した。AI支援のための2兆ウォン(約2100億円)規模の追加補正予算の編成についても、与野党間で合意に近づいている。