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【社説】憲法裁は迅速な弾劾決定で国家的混乱の収拾を

登録:2025-03-11 00:09 修正:2025-03-11 02:01
ソウル拘置所から釈放された尹錫悦大統領が8日、ソウル漢南洞の官邸前で車を降り、支持者たちに向かって拳を振り上げている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の時ならぬ釈放で、国家的混乱と国民の対立がさらに深まっている。ソウル中央地裁刑事合議25部による無責任な決定と検察による疑わしい即時抗告の放棄が、内乱の終息と憲政の回復に予期せぬ壁を作り出したかたちだ。与党「国民の力」と大統領室は、尹大統領の釈放を機に憲法裁判所は弾劾決定を遅らせるべきだとか棄却すべきだとまで公然と主張しているが、まったく話にならない。このような状況であればあるほど、憲法裁は軸をしっかりと保つべきだ。弾劾決定が遅れれば遅れるほど、混乱は深まらざるを得ない。憲法裁は速やかに今週中に全員一致で尹大統領を罷免し、国政の正常化の礎を築かなければならない。

 今回の釈放問題は、刑事訴訟手続きに関する枝葉的な問題で起きた。内乱罪の実体に対する判断とは無関係だ。しかも弾劾審判は、内乱罪などを扱う刑事裁判とは別個に行われる。憲法裁は非常戒厳の過程で大統領を罷免すべきほどの重大な憲法違反や法律違反があったかどうかだけを問うて判断するが、すでに11回の弁論はすべて終わっており、今は最後の段階である裁判官の評議が進められている。

 これまでの16人の証人に対する尋問や、憲法裁が証拠として採用した検察による内乱事件の容疑者たちの供述調書などによって、尹大統領の罷免の根拠は十分に立証されている。非常戒厳宣布▽布告令1号の発令▽軍と警察を動員した国会封鎖▽軍を動員した中央選挙管理委員会の家宅捜索▽裁判官や政治家の逮捕指示など、すべての争点で尹大統領の違憲性と違法性は明確すぎるほど確認されている。尹大統領と代理人団はあらゆるこじつけと詭弁(きべん)を動員したが、やればやるほど、彼をもはや1分1秒たりとも大統領職にとどまらせてはならないという国民の確信は固まるだけだった。憲法裁が尹大統領側の弁論延長要求を拒否し、先月25日に弁論を終えたのも、そのためであろう。

 このような状況で、与党が一斉に「憲法裁は釈放決定を十分に反映すべきだ」、「弾劾審判は水泡に帰した」として憲法裁を揺さぶることに没頭しているのは、非常に不適切だ。尹大統領が無罪放免になったとでもいうのか。尹大統領も、熱烈な支持層に対する扇動や刺激は夢にも思ってはならない。このような懸念を最小化するためにも、憲法裁は弾劾決定をこれ以上遅らせてはならない。現職大統領としての身分と特権を利用して捜査と裁判を妨害したり、遅延させたりしてきた尹大統領の行動にも、もはや幕を下ろさなければならない。今回の釈放決定で、検察や裁判所などの韓国社会の司法システムに対する懸念も強まった。憲法裁には、民主憲政の最後のとりでとして強い責任感を持ってくれるよう願う。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1186102.html韓国語原文入力:2025-03-09 18:09
訳D.K

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