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【社説】「憲法裁判官処断」不気味な扇動、韓国の内乱は終わっていない

登録:2025-03-04 08:06 修正:2025-03-04 10:19
昨年10月の国軍の日の式典で、キム・ヨンヒョン国防部長官と尹錫悦大統領が密かに対話している=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 12・3内乱の重要任務に従事した疑いで拘束起訴されたキム・ヨンヒョン前国防部長官が、獄中からも「憲法裁判官を処断せよ」という不気味な扇動をしている。違憲・違法な非常戒厳で国を危機と混乱のなかに追い詰めた張本人が、今もなお憲政破壊と暴動を扇動しているのだ。内乱はまだ進行中だという言葉が、単なる比喩的な表現ではない厳しい現実であることを端的に示している。一刻も早く「内乱首謀者」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領を罷免し、内乱勢力を徹底的に根絶することで、初めて憲政の正常化が可能となる。

 キム前長官は1日、ソウルの光化門(クァンファムン)で開かれた尹大統領支持集会で、弁護人が代読した手紙を通じて、「憲法裁判所の弾劾審判の過程で、多くの不法・違法行為が明らかになった」とし、「不法弾劾審判を主導したムン・ヒョンベ、イ・ミソン、チョン・ゲソンを処断せよ」という妄言を吐いた。憲法裁判官に対する危害を扇動したことは、それ自体が憲政を否定するもう一つの内乱の試みに他ならない。ソウル西部地裁での暴動事態で国民たちが到底言葉にできない衝撃を受けた状況で、このような不気味な言葉を口にするとは、内乱勢力の無謀さと残忍さは留まることを知らない。内乱が成功していたならば、戒厳布告令に記されていた「布告令違反者を処断する」という文面がいかに残酷な現実として現れたかも、改めて思い起こさせる。罪のない各界の要人を「回収」して除去しようとした計画も、単なる計画で済まなかっただろう。

 このような内乱勢力の蠢動(しゅんどう)に政権与党まで付和雷同するのは容認できない。同じ集会で「高位公職者犯罪捜査処、選挙管理委員会、憲法裁判所を叩き潰さなければならない」という妄言を吐いたソ・チョンホ議員に対して、与党「国民の力」は「個人の発言」として片付け、党レベルでの警告や懲戒は議論さえしていない。このようにうやむやに済ませられる事案では決してない。国民の力は公党として「暴力で憲法機関を無力化しよう」という主張を容認するということなのか、明確に示さなければならない。最大野党「共に民主党」はソ議員を国会倫理特別委員会に提訴することにした。国会レベルで断固として対応しなければならない。

 内乱勢力を徹底的に制圧して国を正常化するまでは遠い道のりだ。その第一歩である尹大統領の弾劾審判から、すみやかに決着をつけなければならない。内乱首謀者が大統領職を維持する非正常な状況を、一日も早く終わらせなければならない。内乱加担者はもちろん、内乱後に絶えず暴力を扇動する同調勢力に対する捜査も徹底的に行われなければならない。民主主義の蹂躙(じゅうりん)行為にはいかに重い責任が伴うのかを、法的、歴史的な教訓として残さなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1185118.html韓国語原文入力:2025-03-03 18:39
訳M.S

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