尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の支持者ら極右勢力による憲法裁判所に対する攻撃が日に日に激しさを増す中、内乱の重要任務従事容疑で拘束起訴されたキム・ヨンヒョン前国防部長官の「憲法裁判官を処断せよ」と主張する獄中書簡が公開された。非常戒厳時の布告令にも「専攻医処断」などの内容が記されていたことで大きな波紋を呼んだが、またしても「処断」という過激な表現が登場したのだ。
1日、ソウル光化門(クァンファムン)で、サラン第一教会のチョン・グァンフン牧師の率いる「大韓民国立て直し運動本部」が開催した尹大統領支持集会で、キム前長官弁護団のイ・ミョンギュ弁護士は、キム前長官の獄中書簡を代読した。
キム前長官は書簡で「1919年3月1日に『大韓独立万歳』を叫んだあの時のあの心情で、自由大韓民国と尹大統領を守ってほしい」と述べている。そして「憲法裁の弾劾審判の過程で数多くの不法・違法行為が明らかになった」として「弾劾審判は却下されなければならない」と主張している。
キム前長官は特に3人の憲法裁判官に言及しつつ、「違法な弾劾審判を主導したムン・ヒョンベ、イ・ミソン、チョン・ゲソンを処断せよ」と記している。書簡は「自由大韓民国万歳! 愛国国民万歳!」と結ばれている。
「処断」という表現は、キム前長官が自ら草案を作成したと主張している12・3内乱の布告令第1号に2度も登場している。「専攻医をはじめ、ストライキ中あるいは医療現場を離脱したすべての医療人は、48時間以内に本業に復帰して忠実に勤務し、違反時は戒厳法により処断する」、「布告令違反者に対しては、大韓民国戒厳法第9条(戒厳司令官特別措置権)に則り、令状なしに逮捕、拘禁、強制捜索ができ、戒厳法第14条(罰則)に則り処断する」などだ。
「専攻医処断」の記された布告令に医療界は騒然となった。全国医学部教授協議会と全国医学部教授非常対策委員会は、内乱事態翌日の昨年12月4日の声明で、「国民を処断するという言辞をはばからないのは、尹錫悦政権が反国家勢力であることを自認するものだ。尹錫悦大統領は直ちに辞任せよ」と述べた。
一方、この日はキム前長官の獄中書簡以外にも、憲法裁を威嚇する極右の発言が相次いだ。与党「国民の力」のソ・チョンホ議員は同集会で、「公捜処(高位公職者犯罪捜査処)、選管(中央選挙管理委員会)、憲法裁判所は違法と迷走を繰り広げてきた。すべてたたき壊さなければならない。たたき潰そう」と述べた。国民の力の議員たちが極右の集会に参加して過激な発言を行うのは珍しいことではないが、選管のような憲法機関と憲法裁判所のような最高司法機関を「たたき壊そう」、「たたき潰そう」と言ったことはなかった。「西部地裁暴動」の衝撃がまだ消えていない中で、与党の国会議員の口から出たものだとは、とうてい信じがたい発言だ。
同日、ソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)の汝矣大路(ヨイデロ)で「セーブコリア」が開催した「三一節国家非常祈とう会」でも、「憲法裁は、適法な手続きに則らず弾劾を認容すれば、国民的抵抗にあって粉々になるだろう」(ソン・ヒョンボ牧師)、「おまえたち(憲法)裁判官が生き残る方法はただ一つ。まさに尹大統領の審判の却下決定だ」(チョン・ハンギル韓国史講師)などの過激な発言が相次いだ。