内乱被疑者の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が26日、拘束起訴された。裁判所は迅速かつ厳正な裁判によって、再びこのような反憲法的な犯罪が繰り返されないよう、厳しく断罪しなければならない。
現職大統領が史上初めて逮捕・拘束されたのに続き、裁判にかけられるまで、国民は気をもみながら不安に震えなければならなかった。誰よりも法を尊重しなければならない検察総長出身の大統領が、裁判所の令状を無視し、警護処を前面に出して抵抗したために、流血の事態まで懸念される状況が引き起こされ、裁判所が暴徒によって集団攻撃される事態まで発生した。しかし、警護処の職員の賢明な命令拒否によって、不幸な事態は起きず、裁判所を攻撃した暴徒は、警察の迅速な捜査によって処罰の手続きが進行中だ。韓国の民主主義は、嵐の前のろうそくのように今もなお危険な状態にあるが、危機のたびごとに正しく常識的な国民が賢明に対処したおかげで、ここまで来ることができた。
高位公職者犯罪捜査処(公捜処)から事件を引き継いだ検察は、拘束期限の延長を申請したが、裁判所が2回とも許可せず、尹大統領の弁護団と与党「国民の力」が釈放を要求するなど、最後まで混乱を招いたりもした。しかし、これも司法手続きが正常に機能していることを示す事例にすぎない。裁判所が拘束期限の延長を許さないのは、尹大統領の逮捕と拘束が不当なものだからではなく、公捜処法の趣旨のもと、公捜処が捜査を行い引き渡した事件を検察が追加で捜査する根拠が不足していたためだった。捜査という行政行為と起訴という司法行為が分離され、検察が起訴機関としての本来の位置に戻るきっかけになりうる。内乱首魁という尹大統領の犯罪事実の立証には、何ら影響はないだろう。むしろ、慣行的になされてきた拘束期限の延長に裁判所がブレーキをかけ、検察に対する司法的統制を強化したと評価できる。
いまこそ公捜処と警察、検察は、ハン・ドクス首相やイ・サンミン前行政安全部長官、パク・ソンジェ法務部長官ら国務委員の戒厳当時の役割や行動など、残りの捜査に拍車をかけなければならない。3つの捜査機関のいずれもが、尹大統領の逮捕や軍関連の捜査などに集中しているため、残りの内乱反逆者に対する捜査は事実上中断されている状態だ。12・3非常戒厳のような国憲紊乱(びんらん)行為がふたたび起きないようにするためには、戒厳を幇助した勢力まで一つひとつ明らかにして、断罪しなければならない。1・19裁判所暴動の背後をはじめ、戒厳を称賛して捜査を妨害する内乱扇動勢力も、法によって徹底的に捜査を行い、根こそぎ排除しなければならない。これが安全かつ民主的な法治国家を作っていくための最初の関門だ。