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[寄稿]韓国、辺境から世界の中心へ

登録:2024-01-05 00:34 修正:2024-01-05 09:34
甲辰年、韓国の国運が龍の如く舞い上がることを願うならば、世界を舞台に人類普遍の共通価値を追求する先進国らしい暮らしを目指すならば、現在我々が立っているここを世界の中心にするという認識の転換が必要だ。地域がすなわちグローバルという意味で、グローカルという表現も登場したが、表向きだけのグローバルは困る。異邦人を周辺人にする地域的閉鎖性から抜け出してこそ、真のグローバルになれる。 

ノ・ジョンヘ|ソウル大学生命科学部名誉教授
Jaewoogy@chol.com//ハンギョレ新聞社

 ずいぶん前に、八堂湖のほとりのチョン・ヤギョン(丁若鏞)先生の遺跡地を訪れた時のことが私にはいまだ衝撃として残っている。1980年代半ば、米国留学を終えて帰国した新米助教授として、私が今後韓国でどんな研究をすべきかを模索していた頃だった。茶山(チョン・ヤギョンの号)の遺跡地にある記念館に、実学者たちの思想と業績に関する紹介が素朴に展示されていた。特に私を驚かせたのは「地球は平らではなく丸い」という地球説を紹介し、「だから、もはや中国が中心とは言えない。辺境と中心の区分はない。私たちも中心になれる」という自覚の表現だった。中国が世界の中心という中華思想に浸っていた朝鮮時代の知識人たちが、北京で接した西洋の科学文明を実学へと発展させ、科学に基づき観点の転換を果たしたことを示す卓越した例だった。「朝鮮時代」を旧習深い封建社会の同義語程度とみなしていた当時の私にとっては、目が覚めるような教えだった。西洋が蓄積した目覚ましい科学発展に卑屈になり、何とかそれに追いついていかなければという義務感ばかりを背負っていた「開化した」私に比べ、朝鮮時代の知識人たちは(もちろん一部だが)果敢に中華思想と決別し、我々も中心になれるという自覚をすでに200年前に説いていた。私の事大主義的思考に鉄槌が下される経験だった。

 19世紀末、「朝鮮(チョソン)」を翻訳した「静かな朝の国(Land of Morning Calm)」として外国に知られ始めた辺境の国は、21世紀が始まり、いつの間にか躍動的な韓国(Dynamic Korea)と呼ばれる国になった。経済と交流規模が大きくなり、この20年間「国際化」と表現される急激な変化が韓国社会に起きた。韓国に居住する外国人が250万人を超え、今年は人口の5%を超える「多人種・多文化国家」になる見通しだ。小学生の4.2%が多文化家庭の子どもであり、その割合は増え続けるだろう。韓国の大学で学位取得を目指す外国人留学生も着実に増え、13万人に迫っている。特に、大学院では現在在籍者の15%に達する約5万人の外国人が研究に励んでいる。K-POPとKドラマの魅力も一役買ったかもしれないが、全世界の大学の順位をつけるクアクアレリ・シモンズ(QS)の世界大学ランキングに40余りの大学が名を連ねているのも、外国人留学生を呼び込む誘因だったのだろう。2021年に国連が認めた先進国の仲間入りを果たしたのだから、もはや辺境とは言えない国際的地位も備えるようになった。

 ところが、一見国際化が進んでいるような韓国は、果たして世界レベルのグローバルな国になっただろうか。国内の労働者が嫌う分野の労働力を提供する低賃金労働者、足りない大学財政と研究人材を埋める役割をする留学生の他に、多様な分野でグローバルに活動できる外国人専門家がさらに多く入ってくるべきではないだろうか。世界を舞台に事業を展開する企業が増えるのは良いことだが、人材を提供し、新しい知識を創出しなければならない大学は果たしてどれほどグローバルなのだろうか。世界で10本の指に入る経済規模を持って、地球と人類が直面している問題を国際的連帯で解決しようとする主導力を、私たちはどれだけ発揮しているだろうか。韓国に入ってきた外国人が所属感を感じながら暮らせる包容性を持っているだろうか。外国に出て成功した韓国人に対しては称賛する一方、韓国を選んだ外国人に対しては依然として排他的な制度と文化的二重性を示しているのではないだろうか。振り返ってみる必要がある。

 QS世界大学ランキングにかなり多くの学校が名を連ねているが、100位以内には5校、500位以内には14校の大学が含まれており、ほとんどがかろうじてその順位を維持している。研究力だけを評価するもう一つの評価では、ソウル大学も129位にとどまり、500位以内に入った5校のほとんどが毎年順位を下げている。研究論文の質的優秀性を示す論文当たりの引用回数は依然として30位以下にとどまっている。実績狙いの論文を量産し、数だけを増やす評価体系も問題であり、分野ごとに解決すべき挑戦的課題、グローバルアジェンダを扱えないことも、韓国の大学の研究力が足踏みまたは低下する原因だ。

 韓国が名実共に国際化になるためには、「出て行く」形と「入ってくる」形の国際化がバランスよく行われなければならない。外国人に対する差別の少ない先進社会または韓国に対する憧れの大きい発展途上国で活動する「出て行く」形の国際化は、外国人が韓国に来て活動する「入ってくる」方式の国際化に比べ、相対的に容易だ。「出て行く」形の国際化は費用とプログラム、当事者の意志がそろえば達成できる一方、「入ってくる」形の国際化はそれに加え、システムと文化が整わなければならない。過去20年間で外国人留学生が8千人から13万人に増える間、外国人専任教授は1300人から4500人に増えた。それでも10年前に6千人を上回りピークに達した外国人教授は、現在10年間にわたり減り続けている。ソウル大学もこの10年間、全体教授の5%に当たる100人台をかろうじて維持している。それも韓国にルーツを持った外国籍の人たちがかなり含まれた数字だ。これでは真の国際化は成し遂げられない。

 外国の人材と専門家を誘致し、また維持するためには、給与だけではなく、定住のための多角的な支援が重要だ。採用条件の柔軟性を発揮し、必要ならば外部機関との兼任も認め、配偶者と子どものための定着支援も行わなければならない。韓国人に特化した条件に苦しみ、定着を諦めるという残念な事例をなくさなければならない。彼らを韓国社会の真の構成員として受け入れ、彼らの成功を望んでいることを、システムと文化で伝えなければならない。そうしてこそ、我々の中に入ってきた彼らが我々をグローバル化させる促進者になれる。

 随所で「グローバル」がキーワードとして登場する。甲辰年(2024年)、韓国の国運が龍の如く舞い上がることを願うならば、世界を舞台に人類普遍の共通価値を追求する先進国らしい暮らしを目指すならば、現在我々が立っているここを世界の中心にするという認識の転換が必要だ。地域がすなわちグローバルという意味で、グローカルという表現も登場したが、表向きだけのグローバルは困る。異邦人を周辺人にする地域的閉鎖性から抜け出してこそ、真のグローバルになれる。

//ハンギョレ新聞社
ノ・ジョンヘ|ソウル大学生命科学部名誉教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1122976.html韓国語原文入力:2024-01-04 18:45
訳H.J

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