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[コラム]韓米日三角同盟とホタテの逆襲

登録:2023-08-29 06:35 修正:2023-08-29 09:50
18日(現地時間)、尹錫悦大統領と米国のジョー・バイデン大統領、日本の岸田文雄首相が米メリーランド州キャンプデービッドで記念撮影を行っている/聯合ニュース

 国際部長になってからこの2年間で最も忙しかった「一週間」を挙げるなら、ためらいなく2023年8月末を思い出すことになるだろう。韓米日3カ国の協力を事実上「同盟関係」に格上げしたキャンプデービッド会談(18日)と、これに対抗する「対抗軸」作りを目指した中ロのBRICS首脳会議(22~24日)に続き、日本の福島原発汚染水の海洋放出(24日)が始まったからだ。

 韓米日3カ国協力の同盟化は非常に懸念すべきであり、日本の汚染水放出も極めて不当な措置だ。だが、すでに多くの人が指摘したこれらの問題の代わりに、ここでは少し違う話をしてみようと思う。これから韓国は今後の中日関係の変化を非常に注目しなければならない。

 18日、キャンプデービッドで韓米日は事実上の同盟へと進む第一歩を踏み出した。両国が同盟になるということは、外部の脅威を認識した場合、それに共同で対応することを意味する。ところが「認識」と「対応」の間には必ず必要なものがある。「協議」だ。北大西洋条約機構(NATO)憲章(1949)には、「欧州又は北米における一又は二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなす」という集団安全保障条項(第5条)の前に、「締約国は、領土保全、政治的独立又は安全が脅かされていると認めたときは、いつでも協議する」という協議条項(第4条)がある。韓米相互防衛条約(1954)の構造も同じだ。「締約国は、いずれか一方の締約国の政治的独立又は安全が外部からの武力攻撃によって脅かされているといずれか一方の締約国が認めたときは、いつでも協議する」という第2条のすぐ後に相互防衛義務を記した第3条がある。

 キャンプデービッドで3カ国は「共通の利益及び安全保障に影響を及ぼす地域の挑戦、挑発、および脅威に対する3カ国の対応を連携させるため、3カ国の政府が相互に迅速な形で協議することにコミット」したが、これはNATO憲章における第4.5条、韓米相互防衛条約における第2.5 条に当たる非常に重要な宣言と評価できる。「韓米日間協議に関するコミットメント」というタイトルの宣言文に条約上の強制力はないというが、一国の首脳が全世界の前でこれほど約束したのに、後でそれを守らなければ世界から嘲笑の的になるだろう。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領にそれだけの覚悟があったかどうかは分からないが、同宣言を通じて韓国外交は中国に対し「ルビコン川」を渡ってしまった(後戻りのできない道へ進んだ)のだ。

 中国は韓米日の同盟化に非常に強く反対してきた。そのため、韓国はそれに相応する対応をある程度覚悟しなければならない状況だった。このような場合、最も「弱いつなぎ目」(韓国)を犠牲にするのが普通だが、折しも非常に奇妙な状況が発生した。日本が24日、汚染水の海洋放出を始めたのだ。中国の海関叢書(税関)は「その日のうちに」日本産水産物の「全面輸入禁止」を宣言し、中国外務省の汪文斌報道官は日本に対して「極めて利己的で極めて無責任だ」と非難した。

 日本人が時々使う言葉の中に「相定外」という言葉がある。予想だにしなかったという意味だ。もしある日本人がこの言葉を使った場合は、本当に慌てたか、とても怒っていると思えば間違いない。日本政府とマスコミは今、「想定外」を連発し、渾然一体となって中国を非難している。

 その理由が気になって日本の水産白書を読んでみた。日本の昨年の水産物輸出(3873億円)のうち中国の割合は22.5%、香港は19.5%だった。全体水産物輸出のうち4分の1は販路が「直ちに」塞がれ、また別の5分の1もやはり危険な状況に陥ることになったわけだ。単純計算でも、日本の水産業に年間1千億以上の被害が予想される。日本が「自由で開かれたインド太平洋」を掲げて「対中包囲網」を構築しようとする米国の尖兵の役割を果たさなければ、中国ももう少し寛大に対応したかもしれない。

 中日間には今後、2012年の尖閣諸島(中国名:釣魚島)の国有化事態に匹敵する軋轢(あつれき)が続く可能性もある。中国がどう攻撃し、日本がどのように対応するのか、また米国はどのような姿勢を取り、韓国にはどのような支援を要請してくるのかを綿密に考えなければならない。世界2位と3位の戦いだから簡単には勝負がつかないだろう。差し当たって懸念されるのは、日本産ホタテ貝の行方だ。日本のホタテ貝の昨年の輸出額は911億円(23.5%)で、水産物全体の中で断然トップだった。日本はこのうち半分(51.3%)を中国に輸出してきたが、これからはこのホタテ貝をどうするだろうか。

//ハンギョレ新聞社
キル・ユンヒョン|国際部長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1106131.html韓国語原文入力:2023-08-29 02:41
訳H.J

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