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韓日軍事協力に向け「アクセル全開」の尹政権…軍需支援協定まで突き進むか

登録:2023-08-23 06:47 修正:2023-08-23 09:18
韓日軍事同盟へと突き進む韓国政府
尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相が18日(現地時間)、ワシントンDC近くの米大統領別荘のキャンプデービッドで行われた韓日首脳会談で、握手を交わしている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 18日に開かれた韓米日首脳会議について、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は「韓国国民にとってリスクは減り、チャンスは大きくなるだろう」とし、安保・経済協力の新たな時代を開いたと評した。しかし、政権発足から1年で、国民の同意もなく、韓日軍事協力を同盟に匹敵する水準まで一気に引き上げる「アクセル全開」の尹政権の動きに懸念が高まっている。日本は北朝鮮の脅威を名目に掲げ再武装を加速化させており、米国は韓国を中国に対抗する韓米日軍事協力システムの下位パートナーに据えることを目指しているからだ。

 安全保障分野における韓日の協力は50年以上にわたり進められてきたが、これまで韓米日安全保障協力を進めてきたのは米国だった。米国は中国が1964年に原爆実験に成功したことを受け、安全保障協力の強化を通じて域内における中国の軍事的浮上をけん制しようとした。米国は韓日国交正常化を支持し、1965年には韓日基本条約が締結された。その後1967年に韓国と日本は軍人事交流を始めた。1990年代までの30年間は、韓国軍と日本の自衛隊の関係者が相互訪問を行い、部隊の交流行事を定例化するなど、初歩的な軍事交流レベルにとどまっていた。

尹錫悦大統領、米国のジョー・バイデン大統領、日本の岸田文雄首相が18日(現地時間)、韓米日首脳会談が開かれた米大統領別荘のキャンプデービッドで記念撮影を行っている/聯合ニュース

 ところが、北朝鮮が1998年に弾道ミサイル「テポドン」を発射したことで、変化が生まれた。韓米日は1999年、韓米日高官で北朝鮮問題を協議する監督・調整グループ会合(TCOG)を立ち上げ、北朝鮮政策を緊密に協議・調整した。韓日は1999年、東海(トンヘ)と韓日中間水域で捜索・救難共同訓練(SAREX)を隔年で行い始めた。同訓練は遭難船舶が発生した場合、韓国海軍と日本の自衛隊間の共同対処能力を向上させる人道目的の非戦闘訓練だ。

 朴槿恵(パク・クネ)政権や文在寅(ムン・ジェイン)政権でも北朝鮮の核・ミサイル脅威を理由に韓米日の共同訓練を行ったが、尹錫悦政権とは違って慎重に進められた。2016年4月、北朝鮮が4回目の核実験を行ったことを受け、韓米日は同年6月にハワイ付近でミサイル探知・追尾訓練を初めて実施し、その後の訓練は文在寅政権時代まで計6回実施された。

 北朝鮮の核脅威が韓米日共同軍事訓練のアクセルだったならば、対話ムードや独島(トクト)と歴史問題はブレーキだった。

 2018年以降、南北関係と朝米関係が緩和されたことで、韓米日の訓練は行われなかった。昨年2月と3月、米日政府が韓米日3カ国共同軍事訓練を朝鮮半島水域で行うことを繰り返し提案してきたが、文在寅政権をそれを受け入れなかった。同訓練が北東アジアの地政学を変える「重大な変化」とみなされてきたうえ、「日本の自衛隊と共にする訓練」に対する韓国社会の拒否感を考慮してのことだった。

 海上捜索・救難訓練を中心に行われていた韓米日3カ国の安全保障協力は、昨年5月の尹錫悦政権発足後、大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)の海上遮断訓練と軍事情報の共有、ミサイル防衛訓練、対潜水艦戦訓練などに急速に拡大した。

 昨年6月の3カ国防衛相会談で、韓米日のミサイル警戒訓練とミサイル探知・追尾訓練を定例化することで合意した。韓米日は東海の公海上で昨年9月30日に史上初めて対潜水艦戦訓練を行い、10月6日にミサイル防衛訓練も行った。2週連続で東海上で韓米日共同訓練が行われたのは初めてだった。独島がありセンシティブな東海で韓米日が集まる訓練を実施しなかった前政権時代とは大きく異なる。例えば2017年10月の訓練では、韓国海軍の艦艇は東海上で、米国と日本の艦艇各1隻は日本近海でそれぞれ北朝鮮ミサイルを探知・追尾し、情報を共有した。

 韓国国防部は4月の韓米日防衛実務者協議(DTT)を機に、これまで用いられてきた「3カ国安全保障協力」の代わりに「3カ国軍事協力」と表現し始めた。今月18日の韓米日首脳会談では、ミサイル防衛訓練など3カ国共同訓練を毎年実施することで合意した。

 今後、韓日が物品役務相互提供協定(ACSA)を結べば韓日同盟が完成するという見通しも示されている。同協定は有事の際、軍需分野で弾薬をはじめ食糧、燃料、輸送・医療サービスなどを互いに提供できる内容で、軍事情報を共有する内容の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)とともに韓日軍事協力を固める二大軸に挙げられる。最近、尹大統領が日本にある国連軍司令部の後方基地7カ所の重要性を重ねて強調していることを、同協定締結に向けた地ならしとみる専門家もいる。

 元外交安保当局者は「韓国が韓米日共同訓練の速度と幅を調整しなければならない」とし、「今のような状況が続けば、朝鮮半島問題に対する韓国の発言権が弱まり、朝鮮半島の危機管理も難しくなるうえ、朝鮮半島に日本が介入する可能性も高まる」と指摘した。

クォン・ヒョクチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1105366.html韓国語原文入力:2023-08-2300 2:42
訳H.J

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