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[社説]韓国法相の個人情報流出で国会とマスコミを家宅捜索したのは行き過ぎた捜査

登録:2023-05-31 06:48 修正:2023-05-31 09:00
ハン・ドンフン法務部長官の個人情報流出疑惑と関連し、警察が30日、「文化放送(MBC)」本社への進入を試みたことに対し、労働組合員らが抗議している/聯合ニュース

 韓国警察が30日、ハン・ドンフン法務部長官の個人情報を流出した疑いで「文化放送(MBC)」本社と記者、国会事務処に対する家宅捜索を行った。警察は当記者の個人情報保護法違反疑惑を調査するための正当な家宅捜索だと主張するが、事前に資料提出を求めず、直ちに報道機関のニュースルームまで家宅捜索の対象にするのは「行き過ぎた捜査」という指摘を免れないものとみられる。特に、当記者が昨年9月の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の米国訪問当時「卑語発言疑惑」を報道しており、それに対する報復捜査ではないかという疑いの声もあがっている。

 警察は、この記者がハン長官の国会人事聴聞会資料のうち、住民登録抄本と不動産売買契約書などを外部に流出させたと疑っている。もちろん公人でも個人情報は保護されなければならず、これを外部に流出する行為は法律違反だ。しかし、人事聴聞会の資料は公職候補者の資質と不正を検証できる基礎資料であり、聴聞会直前に当該省庁が国会に資料を提出すれば、議員室などを通じて国会担当記者たちがこれを入手するのが慣例となっていた。これまで候補者側がこれを問題視するケースはなかった。マスコミ各社が同資料を確保しようとするのは、公職候補者を検証するための公益的性格が強い。これに厳格な法の物差しを突きつけることは、マスコミの公職者検証機能を制約する恐れがある。警察が同日、国会事務処まで家宅捜索したのは、今後の人事聴聞会で国会の「対マスコミ協力」を狙ったのではないかという疑念を抱かせる。

 記者が確保した資料を外部に流出させるのは間違っている。しかし、警察がハン長官の個人情報資料を探すためにMBCニュースルームの家宅捜索に踏み切ったことは理解に苦しむ。言論労組のMBC本部は立場を緊急発表し、「昨年4月、ハン・ドンフン法務部長官の人事聴聞会資料を(当記者が)メッセンジャーを通じて他社の記者に伝えたというのが検察の主張」だとし、「個人情報の対象がハン・ドンフン長官である点、または流出疑惑者がMBC所属である点などが考慮された、行き過ぎた捜査と言わざるを得ない」と主張した。

 尹錫悦大統領は昨年の大統領選挙で「大統領に当選したら言論の自由を確実に保障する」と豪語した。しかし、現実はその発言とは正反対だ。昨年問題になったMBC取材陣の専用機搭乗排除など言論の自由を損ねる報復措置は、米国務省人権報告書にも掲載された。今もマスコミに対する告訴や「韓国放送(KBS)」とMBCに対する監査院の監査、ハン・サンヒョク放送通信委員長の免職推進など、言論の自由を脅かす行為が続いている。

 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1093935.html韓国語原文入力:2023-05-31 02:41
訳H.J

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