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[社説]北朝鮮「核実戦能力」を誇示、出口のない軍拡競争のリスク

登録:2023-03-27 04:04 修正:2023-03-27 09:00
北朝鮮が23日、水中ドローン方式の核魚雷「核無人水中攻撃艇」を爆発させたと24日に公開した。写真は北朝鮮の金正恩国務委員長が核魚雷のそばで笑っている様子。後方に核魚雷の設計図と推定される図面が見える/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 先週終了した韓米合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾)」の期間中、北朝鮮は潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM)から核魚雷まで、核を搭載可能な新兵器を相次いで公開し、「核実戦能力」を誇示した。北朝鮮は韓米の拡大抑止を無力化する様々な発射手段を開発して核の脅威を高め、韓米は大規模な演習で対抗しており、朝鮮半島の緊張の高まりと軍拡競争はこれまで以上に危険になっている。

 13~23日に実施された韓米合同軍事演習に対応し、北朝鮮は新型戦略兵器を次々に公開した。12日のSLCMを皮切りに、19日と22日には短距離弾道ミサイル(SRBM)と巡航ミサイルを目標地点の上空600~800メートルで炸裂させたと主張した。核弾頭の空中爆発は殺傷半径を最大化しようとするもので、第2次大戦中に日本の広島に投下された原子爆弾の爆発高度は570メートルだったという。21~23日には、水中ドローン形式の核魚雷と思われる「核無人水中攻撃艇」による水中爆発実験などを行ったことを公開した。韓国国防部は、北朝鮮は現時点では小型核弾頭をミサイルなどに搭載し実戦配備した状態ではないとみているが、韓米の探知・打撃・迎撃を避け、様々な方式で核兵器を発射する能力を急速に発展させているという点で強く懸念される。

 かつての北朝鮮は、韓米合同軍事演習の期間中は正面からの軍事行動を控えたが、昨年9月に核武力を法制化してからは強く正面対抗している。これに対し、韓米、韓米日が軍事的な対応の度合いをいっそう強めるという悪循環が広がっている。「フリーダムシールド」演習は終わったが、韓米の海軍・海兵隊は、師団級の合同上陸訓練である「双龍訓練」を来月3日まで継続する。韓米は今年、韓米同盟と停戦協定70周年をむかえ、6月に先端戦力が数多く参加する「連合合同火力撃滅訓練」も実施する予定だ。北朝鮮はこれに反発し、核の脅威をよりいっそう強めるだろう。

 朝鮮半島の情勢は、東アジア全体の軍拡競争とも関係している。ニューヨーク・タイムズは25日、米国と中国の戦略的競争が激しくなり不安を感じたアジア諸国が、先を争って軍事力増強に乗りだし、第2次大戦後もっとも高い水準の軍拡競争によって不安定さが高まっていると分析した。2000年はアジア太平洋諸国が全世界の国防費に占める割合は17.5%に過ぎなかったが、2021年は北朝鮮を除いても27.7%に急増した。恐怖の悪循環から抜けだすことができなければ、全員が敗北者にならざるをえない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1085218.html韓国語原文入力:2023-03-27 02:41
訳M.S

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