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朝鮮半島に米国の戦略兵器が展開されたら…北朝鮮、ICBM発射で「対抗」の可能性も

登録:2023-03-14 06:39 修正:2023-03-14 07:19
北朝鮮、韓米演習に潜水艦発射巡航ミサイルで対抗 
「北朝鮮人権問題」提起に約6年ぶりの北朝鮮外務省声明
北朝鮮は12日未明に戦略巡航ミサイル2基を発射したと、翌日明らかにした。「朝鮮中央通信」は「発射訓練に動員された潜水艦『8・24英雄』が朝鮮東海の景浦湾水域で2基の戦略巡航ミサイルを発射した」と報道した/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 韓国と米国が13日、5年ぶりに大規模な実機動訓練を含む韓米合同演習を開始した。両国は今月中旬から下旬まで20種類以上の実機動訓練を行い、同期間に米軍の原子力空母、戦略爆撃機なども朝鮮半島近くに移動して訓練に参加する予定だ。これに対し、北朝鮮は訓練開始前日の12日、潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM)を発射したうえ、外務省が5年半ぶりに声明を発表し、「米国とその追従勢力の卑劣な敵対謀略策動に極めて強く対応する」と激しく反発した。朝鮮半島に再び緊張に満ちた3月が訪れた。

 韓米は同日から23日までの11日間にわたって行われる「フリーダムシールド(FS・自由の盾)」合同演習を開始した。合同演習には師団級の合同上陸訓練(バディ・ウィング)と合同特殊作戦訓練(チークナイフ)など20種類以上の実機動訓練が予定されている。バディ・ウイングは韓米海兵隊が北朝鮮海岸に上陸し平壌(ピョンヤン)など北朝鮮内陸に進撃する内容で、チークナイフは両国特殊部隊が北朝鮮に侵入し北朝鮮首脳部を除去する訓練だ。いずれも北朝鮮が激しい拒否感を示す訓練だ。練習期間中には、米国の原子力空母や潜水艦、戦略爆撃機、イージス駆逐艦なども朝鮮半島に集結するという。

 北朝鮮は武力示威を始めた。北朝鮮は「フリーダムシールド」演習開始前日の12日、潜水艦からSLCMを初めて発射した。「朝鮮中央通信」は「戦略巡航ミサイルの水中発射訓練が12日未明に行われた。発射訓練に動員された潜水艦『8・24英雄』が朝鮮東海(トンヘ)の景浦(キョンポ)湾水域で2基の戦略巡航ミサイルを発射した」と13日付で報じた。景浦湾は咸鏡南道洪原郡(ホンウォングン)沖で、新浦(シンポ)一帯の海上だ。北朝鮮はこれまで潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射したことはあるが、SLCMを発射したのは今回が初めて。同ミサイルは海中から発射されるため、事前探知や迎撃が難しく、目標に対する精密打撃が可能だ。北朝鮮が発射方法や場所など発射プラットフォームを多様化したのが分かる。

 「朝鮮中央通信」は、「発射された2基の戦略巡航ミサイルは、朝鮮東海に設定された1500キロメートル界線の距離を模した『8』字型飛行軌道を7563秒(2時間6分3秒)~7575秒(2時間6分15秒)間飛行し、標的を命中打撃した」としたうえで、「発射訓練を通じて武器体系の信頼性を確認し、共和国の核抑止力のもう一つの重要構成部分である潜水艦部隊の水中対地上攻撃作戦態勢を点検した。発射訓練は本来の目的を成果的に達成した」と主張した。さらに、「水中発射訓練を通じて、米帝と南朝鮮傀儡逆徒の反共和国軍事的準動が露骨化している現状を、終始圧倒的かつ強力な力で統制・管理していくわが軍の変わらぬ立場が明確に表明され、多様な空間での核戦争抑止手段の経常的稼動態勢が立証された」と付け加えた。

 韓国軍合同参謀本部も同日、「12日朝、北朝鮮の咸鏡南道新浦付近の海上潜水艦から未詳のミサイルの発射実験が行われたことを把握した」と確認した。合同参謀関係者は「北朝鮮が主張したSLCMの性能に誇張と欺瞞があるかどうかを調べている」とし、「ミサイルがまだ実戦配備されていないとみている」と述べた。大統領室高官は合同参謀本部が探知に失敗し、翌日に発表したのではないかという質問に対し、「24時間モニタリングしながら状況を観察している」と答えた。北韓大学院大学校のキム・ドンヨプ教授は「韓米合同演習と拡大抑止に対する対抗措置であると同時に、韓米日軍事協力に対する対応でもある」とし、「北朝鮮内部の安全保障上の懸念を解消し、結束を図るためのメッセージも含まれているとみられる」と分析した。

 北朝鮮の武力示威は予告されたものだった。北朝鮮は潜水艦発射巡航ミサイル発射当日、金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記兼中央軍事委員長主宰で労働党中央軍事委員会拡大会議を開き、韓米合同演習に言及し「戦争抑止力をより効果的に行使し、威力的かつ攻勢的に活用するための重大な実践的措置を決定した」と発表した。今後の韓米演習期間中、北朝鮮が正常角度(30~45度)での大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射や、固体燃料の大陸間弾道ミサイルの発射などで対応のレベルを高めていく可能性がある。朝鮮半島の3月は、韓米の大々的な合同演習と北朝鮮の武力示威が悪循環し、緊張が続くものとみられる。

 一方、北朝鮮は米国などが提起する「人権問題」にも強く反発した。北朝鮮外務省は同日早朝、「朝鮮中央通信」で発表した「朝鮮民主主義人民共和国外務省声明」で、「13日から敢行される米国と南朝鮮の大規模な戦争演習と時を同じくして、米国は追従勢力とともに存在しない我々の『人権問題』を論議する国連安全保障理事会の非公式会合というものを強圧的に開こうと企んでいる」とし、「米国の敵対行為は座視できない状況だ。米国とその追従勢力の卑劣な敵対謀略策動に極めて強く対応する」と述べた。

 北朝鮮外務省が「報道官談話」よりはるかにレベルの高い「外務省声明」という機関声明を発表したのは、2017年9月以来5年6カ月ぶり。これに先立ち、ロイター通信は国連安保理が17日に北朝鮮の「人権」問題を話し合う非公式会合を開くと報じた。北朝鮮外務省は「米国の『人権』圧迫騒動」は「対朝鮮敵視政策の最も集中的な表現」であり、「最も政治化された敵対的手段」だと非難した。

クォン・ヒョクチョル記者、イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1083437.html韓国語原文入力:2023-03-14 02:42
訳H.J

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