韓国と米国が13日から23日まで大規模な実機動訓練と共に「フリーダムシールド(FS・自由の盾)」合同演習を行う。朝鮮半島全体を対象に実機動訓練が行われるのは5年ぶり。北朝鮮は12日、「戦争抑止力」を攻勢的に活用するための措置を論議・決定したことを明らかにしており、朝鮮半島の軍事的緊張が高まるものとみられる。
今回の演習はコンピューターシミュレーション中心の指揮所演習だが、実際の兵力と装備の運用を伴う大規模な実機動訓練も共に実施される。演習期間中、韓米は合同上陸訓練の「バディ・ウィング」や合同特殊作戦訓練など20以上の訓練を行う。韓米合同の実機動訓練は、2018年の南北関係、朝米関係の雪解けに伴い大隊級以下に縮小して施行されたが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が発足してからは、昨年8月の「乙支フリーダムシールド(UFS)」合同演習の際に連隊級以上の機動訓練に拡大された。今回は朝鮮半島を戦区とする実機動訓練が再開される。
韓米は今回、北朝鮮の核とミサイル能力の高度化と、ウクライナ戦争など変化した安全保障環境を反映したシナリオをもとに、オーダーメード型演習を展開し、両国同盟の対応能力を強化する計画だと発表した。これまでは演習期間を防御(1部)と反撃(2部)に分け、1部が終了してからしばらく期間を置いて2部を始めたが、今回は11日間途切れることなく行われる。米国の10万トン級の原子力空母と原子力潜水艦が朝鮮半島近くで訓練に参加し、韓米日ミサイル警報訓練も連携して実施される可能性があるという。
これに対し、北朝鮮は対抗措置を取ることを示唆した。北朝鮮は12日、金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記兼中央軍事委員長が労働党中央軍事委員会第8期第5回拡大会議を主宰し、「戦争抑止力」を攻勢的に活用するための措置を議論・決定したことを明らかにした。
北朝鮮官営「朝鮮中央通信」は「米国と南朝鮮の戦争挑発策動がそれぞれ危険界線に突き進んでいる現在の情勢に対処し、わが国の戦争抑止力をより効果的に行使し、威力的かつ攻勢的に活用するための重大な実践的措置が討議・決定された」と報じた。キム・ヨジョン労働党中央委副部長は7日に発表した談話で、「常に的中し、迅速かつ圧倒的な行動を取れる常時準備態勢にある」と強調した。
北朝鮮は、昨年10月31日~11月5日の韓米合同演習(ビジラントストーム)の際、これが「侵略型戦争演習」だとして、大陸間弾道ミサイル(ICBM)など各種ミサイルと放射砲を動員して激しい武力示威を行った。