昨年、筆者が記事に最も多く使った言葉は不確実性だ。また、対外から押し寄せる様々な変動要因が解消されない限り、韓国経済の先行きも不透明だと書いた。今年も世界経済は高物価、高金利、景気減速などの共通要因によって共に揺れ動く見通しだ。2023年は米国経済だけでなく、隣国の中国と日本の経済の動向も注目を集めている。新型コロナウイルス感染症の防疫を緩和した中国経済が崩壊すれば世界経済の低迷危機を、逆に順調な成長を遂げればグローバルインフレを刺激する問題を招きかねないからだ。マクロ経済の実験室と呼ばれ、独歩的に金融緩和政策を続ける日本の政策が転換するかどうかも、今年の世界経済の主な変動要因になり得る。
国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は13日(現地時間)、「今年のグローバル経済成長においては中国が最も重要な要因だ」と述べた。昨年12月7日に「ゼロコロナ」政策を事実上あきらめた中国が今年の世界経済を揺るがす中心となるという意味だ。
中国の防疫政策の緩和は、世界経済に否定的なシグナルとされてきた。新型コロナ感染者の急増で中国経済が萎縮し、世界経済の成長率の低下につながると思われてきた。中国の昨年第4四半期の経済成長率(前年比)は2.9%で、前四半期(3.9%)より低い。もし今年、中国経済が墜落すれば、韓国経済もその余波を避けられない。昨年基準の対中輸出は全体の22.8%であり、中国は依然として韓国にとって最大の交易国だ。
一方、正反対の見通しもある。中国が意外に早く新型コロナを克服するだろうという見解だ。この見解は今年第2四半期を基点に中国で新型コロナの感染拡大が次第に落ち着くだろうという予測に重きを置いている。実際に20日に閉幕した世界経済フォーラム(WEF・ダボスフォーラム)では、中国経済は懸念されていたほど悪くないという楽観論が浮上した。
問題は、中国経済が回復するという良いニュースにもかかわらず、悩みの種は尽きない点にある。今度は物価が心配だ。中国が経済回復の過程でより多くのエネルギーを消費し、国際原油価格などが上昇すれば、グローバルインフレが再び深刻化する可能性がある。年明けから世界は高物価が次第に落ち着き、中央銀行の緊縮政策も和らぐだろうという期待に浮かれている。しかし、中国経済のグローバルインフレへの刺激は期待感を吹き飛ばす台風の目となる。韓国経済を見ても、中国経済の回復は韓国の輸出不振を解消すると同時に、消費者物価を引き上げる可能性がある。
また、他の隣国日本の状況も目を引く。日本銀行は唯一低金利(短期金利-0.1%)を貫いている。マイナス金利の導入に伴い、長期国債金利が過度に下落することを防ぐため、長期市場金利を0%水準で直接統制する「収益率曲線管理」も引き続き行っている。国債10年物の金利の目標範囲を予め決めておき、金利がその範囲内に入るまで国債を売買する方式だ。日本は数十年間続いた低物価と低賃金の問題が解消されるまで緩和的金融政策を固守する方針だ。しかし、日本の物価も生鮮食品などを除いた消費者物価指数(CPI)が昨年12月、41年ぶりに4.0%まで上昇した。金融市場では日銀の大規模国債買い入れも限界に達していると見られている。
日本が金融政策の転換に乗り出せば、世界経済に少なからぬ影響を及ぼすだろう。海外に流れた日本の投資家が再び自国に戻り、グローバル投資家の「円キャリートレード」(低金利で調達した円資金を利用した投資)が消え、グローバル債権金利が動揺する恐れがある。強気に転じる円は、世界経済はもとより、韓国経済にも直接的な影響を与える見通しだ。世界が「今は日銀の動きが重要だ」として、米国の連邦準備理事会だけではなく、日本に注目しているのもそのためだ。
チョン・スルギ | 経済チーム長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )