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[コラム]尹大統領が性急な訪日・訪米の夢から覚めなければならない理由

登録:2023-01-25 05:43 修正:2023-01-25 08:25
米国のジョー・バイデン大統領が13日、ホワイトハウスを訪問した日本の岸田文雄首相をオーバル・オフィス(大統領執務室)に案内している=ワシントン/ロイター・聯合ニュース

 # 2010年、日本は中国にひざまずいた。同年2月、中国が日本を抜いて世界第2位の経済大国になった。9月、東シナ海と尖閣諸島(釣魚島)周辺で、日本の海上保安庁が巡視船に衝突した中国漁船の船長を逮捕した。中国は報復として、日本人4人をスパイ罪で逮捕し、中日首脳会談を取り消し、日本に対するレアアースの輸出を妨げた。次世代電子製品の生産に必須であるレアアースの90%を中国に依存していた日本は、数日ももたず中国人船長を釈放した。2012年には日本政府の「尖閣国有化」に反発し、中国内では連日、大規模な反日デモと不買運動が繰り広げられた。中国の強硬外交は、当時の日本を率いた民主党政権が指向した「米国から独立した外交・アジア共同体」の可能性を沈没させてしまった。中国は、アジア諸国との平等な関係よりは「中華主義」の序列による秩序を選んだ。軍事力を大幅に強化し、南シナ海・東シナ海・台湾海峡で力を誇示し、アジアの覇権に向けて疾走し始めた。

 # 2012年、「アジア共同体」に向かう道が途絶えた日本に安倍首相が戻ってきた。中国の勢力拡大を牽制するために、アジアを越え全世界の主要諸国と日本を連結する重層的な安全保障のネットワークを作り始めた。「インド太平洋戦略」だ。2015年、自衛隊が世界のどこでも米国と共に軍事作戦を可能にするよう、憲法解釈を変えた。安倍元首相は暗殺されたが、日本政府は先月、安保3文書を改正し、攻撃が差し迫ったと判断すれば先制的に敵の基地を打撃可能な能力(反撃能力)を保有し、5年間の防衛費を2倍に増やすことを確定した。平和憲法を事実上死文化させた軍事強国日本の再登場だ。13日の米日首脳会談で米国のバイデン大統領は、日本の軍事力強化を「全面的に支持」した。米国単独では中国の挑戦を牽制するには手に余る状況のもと、“軍事強国”日本と手を結び、半導体・宇宙・原子力・エネルギー分野などでも全方向で協力することにした。

 中国の覇権追求、北朝鮮の核の脅威、ロシアのウクライナ侵攻という挑戦に対応し、日本外交は着実に戦略的勝利を確保した。米日同盟で日本の地位が高まり、北大西洋条約機構(NATO)やインド、オーストラリアなどと日本が主導する安全保障ネットワークを作り、日英同盟も再び結んだ。帝国が復活する時代に、日本は主要な“列強”の席を先行獲得した。その過程で中国との経済関係も揺らがなかった。

 # そのあいだの韓国の戦略は何だったのか。両極端を行ったり来たりした。朴槿恵(パク・クネ)大統領は、中国の習近平国家主席と並んで天安門の望楼に上ったが、中国が北朝鮮核問題の解決に協力しないとなると、THAAD(高高度防衛ミサイル)配備と韓日慰安婦合意に疾走した。文在寅(ムン・ジェイン)政権は、米国のトランプ大統領を動かし、南北関係を強化して状況を突破しようとしたが、朝米のハノイでの首脳会談が「ノーディール」に終わり、挫折した。朝鮮半島の未来と韓日の過去の問題では「安倍路線」と衝突し、日本の輸出規制と「GSOMIA(韓日軍事情報保護協定)終了」を経て、韓日対立はよりいっそう深まった。

 韓日関係をすみやかに改善し韓米日協力を強化すると叫んでいる尹錫悦大統領は、早ければ来月には強制動員解決策の「最終案」を発表し、2~3月に日本と米国を相次いで訪問するスケジュールを推進している。尹大統領は、「文在寅政権ができなかった」韓日関係改善をやり遂げ、韓米日協力で安全保障を強化する業績を、東京とワシントンで支持層に向けて誇示したいのだろう。

 中国が十分な準備が整っていない状態で覇権を追求し、米中対立を機会と考える北朝鮮が核による威嚇を本格化し、ロシアがウクライナを侵攻したことで、「戦争のない時代」は幕を閉じた。各国はきわめて利己的な国益ゲームを行っている。このような状況で、核武装論に陥ることなく安全保障の状況を改善するには、韓米日協力は必要だ。同時に、韓国がこれを活用し長期・短期的に何を追求するのか、明確な戦略がなければならない。中国が「北朝鮮非核化」の目標に戻り、台湾海峡で戦争が広がらないようにするテコとしなければならず、日本の再武装が危険な一方向へ進まないよう、韓米日の枠内で韓国の発言権を強化しなければならない。韓国は東アジアの安全保障と経済で重要なカギを握る国だ。韓国は、米日同盟の従属変数にならないよう平等な関係を要求し、急変する先端技術と経済秩序において、韓国の地位を確保しなければならない。

 尹錫悦政権は過度に焦っているかのように米国と日本だけを見て走り進んでいる。尹錫悦大統領は、米国と日本を相手に過去の問題などに対する韓国の立場を激しく要求してきたのか。大統領は、強制動員被害者たちや世論を説得するために真剣に努力したのか。日本は米国と固く手を握り立場を固めたので、焦っている韓国に譲歩する必要はないとみてゆったり構えている状況だ。強制動員被害者に対する謝罪と加害企業の賠償への参加について、日本は今なお頑強に拒否している。李明博(イ・ミョンバク)元大統領は、2012年に日本とのGSOMIA締結を推進したが、世論が悪化すると署名の50分前に取り消し、同年8月には反日で支持率を高めようと、独島(ドクト)を訪問して「天皇の謝罪」を要求し、韓日関係をどん底に追い込んだ。尹大統領が警戒しなければならない反面教師だ。

//ハンギョレ新聞社

パク・ミンヒ|論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1076727.html韓国語原文入力:2023-01-25 02:21
訳M.S

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