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[社説]韓日関係改善を焦るあまり強制動員被害者の意志を無視してはならない

登録:2023-01-13 02:59 修正:2023-03-06 07:39
強制徴用被害者の関係者たちが12日午前、国会議員会館で行われた強制動員問題解決策を議論するための公開討論会で強く抗議している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 行政安全部傘下の日帝強制動員被害者支援財団から強制動員被害者に賠償金を支払う「併存的債務引き受け」案を政府が公開した。日本の被告企業の謝罪も、賠償への参加も不透明だ。韓日関係の改善を焦るあまり、強制動員解決策の歴史的意味も、被害者の苦しみに対する謝罪と慰労も消し去ってしまった案を推し進めれば、政府は韓日関係をさらに悪化させる逆風にさらされることになるだろう。

 今回の案は、12日に外交部と韓日議員連盟のチョン・ジンソク会長が共催した討論会で公開された。外交部アジア太平洋局のソ・ミンジョン局長は、強制動員被害者が日本の加害企業ではなく第三者から判決金(賠償金)を代わりに弁済してもらうことは可能だとし、日帝強制動員被害者支援財団を賠償主体として提示した。事実上、政府の公式案と考えなければならない。ソ局長は「日本がすでに表明した痛切な謝罪と反省を誠実に維持継承することが重要だ」と強調した。日本の加害企業自体の謝罪は難しく、過去の日本政府の談話を確認する程度にとどまることを示唆したわけだ。加害企業の賠償参加についても「迂回的方策を探る」と述べるにとどまった。

 このような案では被害者だけでなく世論も説得することは困難だ。特に、被害者の要求の最も重要な部分は加害企業の真の謝罪だ。強制動員被害者のヤン・クムドクさんは先日、パク・チン外交部長官に「私の言うことを尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に伝えてほしい。私が金ばかりを見て生きてきたとしたら、こんな闘いはしていなかった。三菱が謝罪し賠償すべきだ」と訴えた。政府案を「歴史と人権の問題を金の支払い問題への転落させた」と被害者側が批判するのは当然だ。

 政府のこのような焦りは、多分に日本との軍事・外交協力の強化などを急ぐあまり生じている。尹錫悦大統領は11日、外交部と国防部から業務報告を受ける席で「日本のことを誰がとやかく言えるだろうか」とし、日本政府の防衛費増額と敵基地攻撃能力の明示を擁護する不適切な発言をした。国際秩序の急変と安保情勢の悪化に対応するための協力は必要だが、被害者を無視しては2015年の韓日慰安婦合意の二の舞になる恐れが強まるばかりだ。

 政府は外交協議を通じて、日本企業の謝罪と賠償への参加についての折衷案作りに最後まで力を尽くすべきだ。日本政府も加害企業が歴史的・道義的責任を果たすよう役割を果たすべきだ。両政府は、この問題をきちんと解決しなければ韓日、韓米日協力も困難だということを肝に銘じてほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1075509.html韓国語原文入力:2023-01-12 19:10
訳D.K

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