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米シンクタンク「朝鮮半島の戦術核再配備に備えた模擬訓練を検討すべき」

登録:2023-01-20 06:45 修正:2023-01-20 08:02
朝鮮半島上空で米軍と韓国軍戦闘機の護衛を受けている米軍のB52爆撃機=韓国空軍提供//ハンギョレ新聞社

 米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)の朝鮮半島委員会が、再配備の決定は留保することを前提に、朝鮮半島への戦術核再配備に備える模擬訓練を検討すべきだと米政府に勧告した。米政府に北朝鮮の核・ミサイル実験の中断を条件にした部分的な制裁緩和の検討も求めた。

 同委員会は18日(現地時間)に発表した「対北朝鮮政策と拡大抑止」と題した報告書で、北朝鮮の核に対抗するための拡大抑止の強化に向け、「低出力核兵器の再配備に備え、最終決定前に基礎作業が必要だ」とし、模擬訓練を検討すべきだと提言した。さらに、戦術核の再配備は、潜水艦発射巡航核ミサイル(SLBM)の展開や韓米の核共同企画体制の発足など従来の拡大抑止の強化策がすべて出尽くした上で考慮すべきだとし、「そのタイムテーブルや、低出力潜水艦発射巡航核ミサイルまたは重力爆弾のような兵器の範囲は、慎重に曖昧な状態で残しておかなければならない」と指摘した。

 同報告書は、模擬訓練を通じては環境影響、地域と施設指定、米軍F16やF35戦闘機などの運搬手段、完工に2~3年かかる貯蔵施設などの検討が必要であると明らかにした。また「戦術核兵器の再配備は、抑止効果という目的にもかかわらず、緊張を高めるだろう」としながらも、「最終決定前の準備作業は、核拡散の敷居を越えずに同盟に対するコミットメントと北朝鮮に対する断固たる決意を示すものになるだろう」とその意味を説明した。

 報告書はまた、韓米が日本まで含めて北大西洋条約機構(NATO)と似たような「核企画グループ」を構成し、英国とフランスのような核保有国を追加した多国籍な核の傘の提供も検討する必要があると勧告した。戦略資産を投入する「ブルーライトニング」のような訓練を韓米日が共に進める必要性についても提言した。必要ならば戦術核の搭載が可能な韓国戦闘機を米軍グアム基地に配備する案の検討も求めた。

 このような提言は、韓国の一部で取り上げられている戦術核再配備を求める主張とそれに反対する主張の折衷点を模索したものとみられる。韓国政府は拡大抑止の強化に向け、米国と核戦力の展開を共同企画し、共同演習することを進めている。

 同委員会は「北朝鮮は兵器開発という目標を達成するまでは外交舞台に戻らないとみられる」としたうえで、「ウクライナ戦争が北朝鮮に安全保障のための核兵器の重要性を強調しているようだ」とした。だが、完全かつ検証可能な非核化に向けたロードマップを作成し、「部分的な制裁緩和と臨時のエネルギー供給の見返りとして、北朝鮮の長距離および短距離ミサイル発射と核実験の中止を引き出す臨時的措置」を出発点にすることを提言した。このような措置は北朝鮮の協力が続くかどうかによって元に戻せる形にしなければならず、その後、相互脅威の縮小、政治的関係の正常化、米軍の遺骨返還、平和体制について話し合うべきだと主張した。これと同時に、核物質生産の凍結、核物質の生産と核兵器製造施設の検証を経た閉鎖を追求することも勧告した。ソン・キム駐インドネシア米国大使が兼任している北朝鮮政策特別代表を専任に切り替えることも求めた。

 同委員会は、CSISのジョン・ハムレ所長とハーバード大学のジョセフ・ナイ特別功労教授が共同委員長を務めており、ビクター・チャCSIS韓国碩座、リチャード・アーミテージ元国務副長官、キャサリン・スティーブンス元駐韓米国大使、ビンセント・ブルックス元韓米連合司令官らが参加している。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1076337.html韓国語原文入力:2023-01-20 02:10
訳H.J

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