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[社説]侵入許した領空の穴を塞ぐどころか「北朝鮮と内通」「前政権のせい」とは

登録:2023-01-07 01:51 修正:2023-01-07 08:02
共に民主党のキム・ビョンジュ議員が6日午後、ソウル汝矣島の国会で行われた議員総会で、北朝鮮無人機侵入事件について発言している/聯合ニュース

 北朝鮮の無人機の「龍山(ヨンサン)飛行」について、政権与党と大統領室は国民に謝罪するどころか、前政権に責任を転嫁している。また、当初疑惑を提起した野党議員に対しては、「北朝鮮内通説」まで動員して攻撃をはじめている。安保空白に対する憂慮の払拭に努めるのではなく責任転嫁ばかりに没頭する態度は、実に嘆かわしい。

 国民の力のチュ・ホヨン院内代表は6日、北朝鮮の無人機に対するずさんな対応について、「システムを構築し、我々の対応策を講じるには数年かかるが、政権を握って7~8カ月しかたっていない現政権が準備する方法はなかった」とし、「大半の責任は文在寅(ムン・ジェイン)政権が(安保を)疎かにしたことにある」と逆攻勢を繰り広げた。野党による「安保惨事」との批判に対し、文在寅政権責任論を持ち出したのだ。これは先に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「過去数年間、韓国軍の準備態勢と訓練が非常に不足していたことを示している」と述べて前政権のせいにしたのと同じ脈絡だ。大統領と与党は、軍の対応態勢を厳しく指摘し、再発防止策を立てることを通じて国家安保に無限責任を負う姿勢をまず示すことこそ常識的な対応だ。事が起こるたびに前政権のせいにするのは、国家運営の無能さを自ら認めているようなものだ。

 龍山の大統領室周辺の飛行禁止区域が侵犯された可能性を真っ先に提起した共に民主党のキム・ビョンジュ議員に対する攻撃は、気の毒になるほどだ。大統領室が前日に情報の出所が疑わしいと述べたことを受け、与党の主要関係者たちは「総攻勢」を開始した。国会国防委員会の与党の幹事を務めるシン・ウォンシク議員はこの日、「北朝鮮と内通しているという合理的な疑念を抱かざるを得ない」と主張した。ソン・イルチョン政策委議長は、「いったいあの神通力はどこから生じるのか。情報ソースを誰から得たのか明らかにせよ」と述べた。同党のハン・ギホ国防委員長が国防部の航跡記録報告をもとに、キム議員と同じ判断をしたとの趣旨を明らかにしたことをみるだけでも、どれほどとんでもないでっち上げかが分かる。軍の無能と嘘について厳しく責任を問うべき状況にあって、野党議員の常識的な問題提起に対して居直って覆い隠そうとしたところで、国民は納得できるだろうか。

 北朝鮮の挑発が相次いでいることで、南北の緊張はいつにも増して高まっている。特に、大統領室が北朝鮮に対する拡声器放送を再開し、民間の対北朝鮮ビラ散布の容認を検討していることが伝えられたことで、南北の強対強対峙は激化するとみられる。軍の態勢を正し、情勢を管理すべき政権勢力が「本質ずらし」と前政権への責任転嫁によって責任を回避すれば、かえって安保不安を高めるだけだということを知るべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1074752.html韓国語原文入力:2023-01-06 18:54
訳D.K

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