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韓国国防部、北朝鮮無人機へのずさんな対応と嘘への批判にも謝罪せず

登録:2023-01-06 06:18 修正:2023-01-06 07:17
龍山一帯の飛行禁止区域、北朝鮮の無人機に侵犯されたことを一歩遅れて認めたが、謝罪なし
先月29日、北朝鮮の小型無人機への対応および撃滅訓練に参加した陸軍第5軍団の将兵が、防空兵器である20ミリバルカン砲を運用している=合同参謀本部提供//ハンギョレ新聞社

 先月26日、首都圏の領空を侵犯した北朝鮮の無人機のうち1機が、当初の軍の説明とは異なり、大統領室の警護のために設定したソウル龍山(ヨンサン)地域の飛行禁止区域(P73)を侵犯したことが明らかになった。大統領室のあるソウルの心臓部の防衛の弱点が露呈したのだ。韓国軍が一歩遅れてこれを認めたことを受け、野党は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の謝罪と関係者への問責を求めた。

 合同参謀本部の関係者は5日、「合同参謀戦備態勢検閲室の調査の結果、ソウルに進入した小型無人機1機と推定される航跡が飛行禁止区域の北端の一部を通過したものとみられる」とし、「混乱を招いたことについて遺憾に思う」と述べた。飛行禁止区域(P73)は、大統領室を航空テロの脅威から保護するため、近くの半径3.7キロメートルに設定した地域で、ソウル龍山と、瑞草区(ソチョグ)・銅雀区(トンジャクグ)・中区(チュング)の一部を含む。北朝鮮の無人機は龍山区と鍾路区(チョンノグ)の境界地域まで入ってきたという。

 これは先月29日の国防部と合同参謀本部の説明とは全く異なる。当時、「龍山の大統領室一帯の飛行禁止区域に入った可能性がある」という野党の主張に対し、イ・ソンジュン合同参謀本部広報室長は「根拠のない話に対して強い遺憾を表明する」と述べており、チョン・ハギュ国防部報道官も「敵を利する行為(主張)」だと反論した。軍当局は、北朝鮮の無人機が「ソウル北部」地域だけを飛行したと主張してきた。

 国防部と合同参謀本部は前言を翻したことについて「第一線の作戦要員は無人機とみなさなかったが、合同参謀本部による戦備態勢の検閲過程で北朝鮮の無人機の航跡であると改めて判断した」と述べた。

 軍当局は同日のブリーフィングで、何度も「大統領室の安全には異常がない」と強調した。軍関係者は「無人機の高度、大統領執務室との距離、無人機(の偵察)能力などを考えると、龍山の大統領室の撮影は不可能だった」と強調した。しかし、北朝鮮に戻った無人機に「カメラが装着されていたかどうかは確認できなかった」と述べた。国家情報院も同日、国会情報委員会で、龍山の大統領室を撮影した可能性をめぐる懸念について「可能性があると答弁した」と、野党「共に民主党」所属の情報委野党幹事、ユン・ゴニョン議員が伝えた。

 民主党のイ・ジェミョン代表は自身のフェイスブックに、「軍統帥権者ならば類を見ない安全保障惨事に対して国民に謝罪し、責任者の無能と欺瞞を問責すべきだ」という書き込みを残した。

 北朝鮮の武力示威に対する韓国軍のずさんな対応と事故に続く隠蔽と縮小は、最近繰り返されている。軍は先月27日、鳥の群れを無人機と間違え、戦闘機を出撃させた。

 昨年10月4日にも当局は、北朝鮮のミサイル発射に対応して江陵(カンヌン)基地で発射した地対地弾道ミサイル「玄武2C」1発が後ろに飛ぶ事故が起きた時も、8時間が経過してからようやくこれを認めた。軍は同日に発射したATACMS(エイタクムス)2発のうち1発の軌跡を追跡できなかったにもかかわらず、「韓米の地対地ミサイルATACMSが仮想標的を精密打撃し、追加挑発の抑止に向けた対応能力を示した」という報道資料を出した。

 昨年11月2日には、空軍誘導弾射撃大会で中距離誘導兵器「天弓」が発射された後、レーダーと誘導弾の間の信号不良のため爆発した。同日、北方限界線(NLL)を越えてきた北朝鮮ミサイルに対応しようとした空軍戦闘機の精密誘導弾2発も、目標設定の誤りなどにより発射に失敗した。軍は当時も堂々と精密打撃に成功したと発表した。先月30日には、夕方にセキュリティのためとして固体燃料宇宙飛翔体の発射を予告なしに実施し、市民の不安感を高めた。

クォン・ヒョクチョル、シン・ヒョンチョル、ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1074627.html韓国語原文入力:2023-01-05 22:54
訳H.J

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