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[社説]「尹大統領夫人・50億クラブ」の厳正な捜査なくして検察の立場はない

登録:2022-12-03 06:48 修正:2022-12-03 07:52
尹錫悦大統領の夫人、キム・ゴンヒ女史=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫人のキム・ゴンヒ女史が関与した疑惑がもちあがっているドイツモーターズの株価操作事件と関連し、昨年米国に逃避したM氏が29日帰国し、逮捕された。M氏は株価操作の主要拠点とされたA投資諮問会社の役員を務め、昨年検察が同社の家宅捜索で発見した「キム・ゴンヒ・ファイル」の作成に関与した人物として知られている。これまで手をこまねいていた検察が、捜査に乗り出す契機になったわけだ。検察がこれをきちんと捜査しない限り、政治的中立と公正性は決して確保できない。パク・ヨンス元特別検察官などが関与した大庄洞(テジャンドン)事業「50億クラブ」捜査も同じだ。

 M氏が関与したとされる「キム・ゴンヒ」という名前のエクセルファイルには、キム女史の証券会社の口座の引き出し内訳や株式の数などが記録されていたという。ここに言及されたキム女史名義の口座2つが、実際に株価操作の時期にドイツモーターズの株式49万株余り(18億4600万ウォン相当)の買収に使われたという。1年前に起訴されたクォン・オス前ドイツモーターズ会長などの裁判過程でも、キム女史が株価操作に介入した情況が吹き込まれている録音記録などが数回公開された。M氏まで逮捕された状況で、検察がキム女史の捜査に本格的に乗り出さなければ、明らかな職務遺棄に当たるだろう。

パク・ヨンス元特別検察官=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 「50億クラブ」の捜査もこれと言った進展が見られない中、最近、関連事件が大庄洞事件を捜査中のソウル中央地検に移されているという。キム・マンベ氏から50億ウォン(約5億1800万円)を借りて利子なしに元金だけを返済した「マネー・トゥデイ」グループのホン・ソングン会長、火天大有から随意契約でマンションを分譲されたパク・ヨンス元特別検察官の娘などに関する事件だ。だが「50億クラブ」疑惑の核心地点は、彼らよりパク元特別検察官本人やクォン・スンイル元最高裁判事、キム・スナム元検察総長、チェ・ジェギョン元大統領府民情首席など検察と裁判所の高官出身たちだ。脇役の捜査にとどまってはいけない。

 新政権発足後、検察は野党と前政権の関係者を狙った大庄洞事件や西海公務員殺害事件など、捜査に総力を挙げている。「生身の権力」と関連した疑惑の捜査の動きは見られない。「尹錫悦派」の検事たちが掌握した検察では予見されていた事態だとしても、度を越している。このままでは、検察がいかなる事件を捜査しても、国民から信用されない最悪の不信状態を招きかねない。検察は国民の注目が集まるキム女史と「50億クラブ」事件を見せかけに止まらず厳正に捜査しなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1069821.html韓国語原文入: 2022-12-02 18:04
訳H.J

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