本文に移動

[社説]大統領から区長まで責任逃れ、すべて警察のせいなのか

登録:2022-11-09 06:45 修正:2022-11-09 08:42
梨泰院惨事を捜査中の警察庁特別捜査本部の関係者らが8日午後、鍾路区のソウル警察庁の家宅捜索終了後、押収品を運んでいる/聯合ニュース

 韓国政府はどうやら警察のずさんな対応に対する責任追及を軸に梨泰院(イテウォン)惨事の収拾を図っているようだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は7日、「なぜ4時間も手をこまねいて見ていたのか」と警察を強く叱責し、警察庁特別捜査本部は8日、これに応えるかのように警察庁など55カ所に対する大々的な家宅捜索に乗り出した。だが、こうした捜査が進むほど、国政の総責任者である尹大統領と政府高官たちの一貫した責任逃れと弁明だけがかえって浮き彫りになっている。

 尹大統領は前日、国家安全システム会議で「警察の業務に大々的な革新が必要だ。責任ある人に対しては厳しくその責任を問う」と述べた。また「責任は(責任が)ある人に問うべきであって、ただ漠然とすべてについて責任を取れというのは現代社会ではありえない話だ」とも語った。「政府責任論」ではなく「警察責任論」で鮮明なガイドラインを示し、ハン・ドクス首相とイ・サンミン行政安全部長官に対する更迭要求を一蹴したわけだ。ソウルの真ん中で156人の命が失われたのに、尹大統領が国政の総責任者として惨事を防げなかった自分の責任を認めたことは一度もない。「国家のあらゆる危険に対するコントロールタワーは大統領」という発言の意味は一体何なのか問わざるを得ない。

 もちろん、警察の責任は重大だ。梨泰院を管轄する龍山(ヨンサン)警察署がハロウィーンイベントに備えるべきという事前報告書を黙殺し、証拠隠滅を試みた点や、龍山署長の理解できない動線と警察首脳部のとんでもない怠慢などは国民の怒りを誘うのに十分だ。徹底した捜査を経て相応の処罰を受けなければならない。ただし、それが国民の生命と安全を守れなかった高官たちに対する免罪符になり得ないことも明らかだ。しかし、キム・デギ大統領秘書室長が言うには、同日まで梨泰院惨事と関連して辞意を表明した国務委員や大統領室参謀陣はいないという。

 イ・サンミン長官は、総括省庁の長官として惨事当時どのような指揮をとったのかについて、これまで明らかにしていない。惨事直後に不適切な発言を行っただけでも厳しい問責を受けなければならないのに、長官のポストにしがみついている。事前の備えを怠ったパク・ヒヨン龍山区庁長は「大きな犠牲が出たことに対する心の責任」を負うと述べただけだ。法的責任と刑事的責任に重点を置く尹大統領の認識と公職者たちのこのような無責任な態度は、決して無関係ではない。警察の責任を問う「トカゲの尻尾切り」で事態の幕引きを図ろうとすれば、より大きな国民的抵抗に直面することになるだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1066354.html韓国語原文入:2022-11-0820:30
訳H.J

関連記事