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[社説]危険で無責任な韓国与党の「核武装」「南北軍事合意破棄」主張

登録:2022-10-13 02:24 修正:2022-10-13 09:16
国民の力のチョン・ジンソク非常対策委員長が12日、ソウル汝矣島の国民日報ビルのコンベンションホールで開かれた「2022国民未来フォーラム」に出席し、祝辞を述べている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 国民の力のチョン・ジンソク非常対策委員長は、北朝鮮が7回目の核実験を強行した場合は「朝鮮半島非核化宣言」を破棄すべきだと主張した。同党のキム・ギヒョン議員に至っては、「我々自ら核能力を保有するしかない」とし、「独自核武装論」まで打ち出している。北朝鮮が核の脅威を高めるのは非常に危険で遺憾だ。しかし、「核には核」との論理は危機を増幅させるだけだ。政権与党の責任ある姿勢だとは考えられない。

 チョン非常対策委員長は12日、「我々だけが30年あまり前の南北間の非核化共同宣言で自らの手足を縛っている」とし、「決断の瞬間が来た」と述べた。北朝鮮が核開発を始めた瞬間から、共同宣言は事実上廃棄されていたという主張だ。同氏は、南北が一切の軍事的敵対行為を全面的に中止することとした9・19軍事合意も破棄されるべきだと語った。前日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「様々な意見を傾聴している」とし、戦術核再配備の可能性を開いたことを受け、直ちに与党指導部が核武装の必要性に言及している格好だ。

 北朝鮮はこれに先立ち、この2週間の間に7回にわたって短距離弾道ミサイル、新型中長距離弾道ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイルなどを発射したことを公開している。また、有事の際には、龍山(ヨンサン)の大統領室や飛行場などの主要施設を攻撃しうると主張している。与党の戦術核への言及は北朝鮮の脅威に対応するという観点からのものだが、外交と対話は素通りし、直ちに強対強対応に言及することが朝鮮半島の平和にどのように役立つのか疑問だ。

 さらに独自開発による核武装、米国の戦術核の朝鮮半島への配備、周辺国との戦術核の共同運用など、韓国が核武装しうる3つの案はいずれも実現可能性が低い。核拡散防止条約(NPT)を脱退して独自の核武装を行うことは、国際的孤立を招くため事実上不可能だ。戦術核の再配備または共同運用も米国の世界戦略にかかっているため、韓国が決定できるわけでもない。「鍵」を握っている米国はこの日、戦術核再配備問題について「同盟事案についての韓国の立場と希望は、韓国側が表明するに任せる」と述べるにとどまっている。

 北朝鮮の度重なる挑発により、朝鮮半島危機の影は濃くなりつつある。いま必要なのは情勢を管理しうる具体的な対応策だ。与党関係者が可能性の低い「核武装」や軍事合意破棄を云々しているのは、安保危機を国内政治の危機の打開策として利用しているとの疑いを持たれるには十分だ。危険で無責任な「戦術核」をあおるのではなく、実効性のある対策を考えるべきであろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1062419.html韓国語原文入力:2022-10-12 20:44
訳D.K

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