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[寄稿]弾劾前に戻った韓国の国政時計…すでに死んだ時代の復活

登録:2022-08-17 06:38 修正:2022-08-17 08:24
[尹錫悦大統領就任100日]シン・ジヌク教授寄稿
尹錫悦大統領が5月10日、ソウル汝矣島の国会議事堂前の芝生広場で開かれた第20代大統領就任式で就任の辞を述べている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 もうすぐ尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足100日を迎える。李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)両元大統領の弾劾と収監で韓国政治の一時代が終焉を告げたと思っていたが、数年が経ってすでに死んだ時代が蘇ったようにも見える。弾劾された政権の最後の場面で私たちが見た姿が、まるで静止画が再び動き出すように、再生されているためだ。側近政治や陰の実力者をめぐる議論、権力と国民の考えの乖離、総体的な世論悪化などがすべてそうだ。

 最近の世論調査で、大統領の国政遂行を評価する国民は20%台に過ぎない。「評価しない」という回答が70%に達するだけでなく、「全く評価しない」がそのほとんどを占めている。政治的スタンスや世代、地域を越える汎国民的現象だ。革新・中道の市民はもちろん、保守的市民の心も離れている。高齢者層を除くすべての年齢層に共通した結果であり、地域的にも同様で(保守支持で知られる)釜山(プサン)、蔚山(ウルサン)、慶尚南道でも不支持率が60%を越える。

 歴代政府に比べると、これは初めての事態だ。大統領就任100日目の金泳三(キム・ヨンサム)大統領と文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率は80%前後だったし、盧泰愚(ノ・テウ)大統領、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領、朴槿恵大統領も40~50%台だった。李明博大統領だけが20%台だったが、これは就任直後の大規模なろうそく集会など大型事件の結果だった。しかし、現政権はその存在自体で国民の信頼を失っている。

 不支持の理由は、さまざまな調査で無能、独断、人事問題に要約される。このうち無能が真っ先に挙げられるが、これは単に政策力量の問題ではない。最も根本的なのは、政治指導者としての姿勢と準備ができているかどうかではないかと思う。大衆は、今の統治者はこの国の指導者として「資格がない」と考えている。支配の正当性の中核にあたる部分が問題視されているわけだ。

 公的責任の不在がその代表的な側面だ。大雨で国が非常事態なのに、大統領は浸水する家々を車窓から見ながら自宅に帰った。与党議員たちは水害現場を訪問した際、冗談を言い合い、権力闘争に余念がない。民衆はこのような光景から政治の堕落を見て憤る。豪雨中、ツイッターに「#無政府状態」というハッシュタグが拡散したのは実は恐ろしいことだ。

 国家の私有化と私事化は統治者の資格がないことを示すもう一つの側面だ。尹大統領の夫人、キム・ゴンヒ女史の論文盗作が「問題なし」で終結し、政権の実力者の家族と知人たちの私的採用をめぐる疑惑が絶えず、「コンジン法師」のように公的地位のない人物の名前がしきりに取りざたされている。新政権の価値として標榜した「公正」はすでに死んだ言葉になってしまい、統治の権威を失っている。

 尹錫悦政権で政策が方向性を失った原因は、このような私人政治が独占的権力構造を構築しているためだ。経済、雇用、福祉、教育、環境、外交など各分野で優れた識見と経験を兼ね備えた人物はガバナンスから排除されている。大統領と検察、親衛勢力で構成された狭い統治集団が全権を握っているのだから、彼らが韓国社会の複合的現実に対応し切れないのは当然だ。

 だから、人事は問題の原因ではなく結果だ。多くの長官候補が論文の盗作や家族への特恵、不正腐敗、職場でのパワハラ、セクハラ、政策混線などで退き、辞任した。少数が閉ざされた権力の城を築いているために起きた出来事だ。大統領と側近、大統領室の人事関連企画官および秘書官はいずれも検察出身だ。検察共和国は非民主的なだけでなく、共和国を運営する能力が疑われている。

 尹錫悦政権が今の政治的危機を打開して成功した政府になるためには、大統領室の人事改編や庶民の暮らしに焦点を当てたイベントのような見せかけの措置ではなく、ガバナンスの実質的変化を図らなければならない。現在の閉ざされた権力構造を開放し、各界の有能な人物を参加させ、社会との意思疎通を拡大すべきだ。

 その反対の不幸なシナリオは、現在の政治の私事化、司法化、独占化が今後、少数の既得権集団のための支配体制の樹立につながるというものだ。大統領を頂点とする権力の序列構造が整備された後は、検察や警察、監査院、国税庁、情報機関など主な権力機構を動員した抑圧的統治体制に進む危険がある。

 大宇造船海洋下請け業者の非正規労働者ストライキの時、政府がいかなる調整の努力や労働人権への関心も示さず、警察特攻隊の投入を予告し脅迫した場面は不吉な暗示だった。また、政府は多住宅所有者と高所得者に最も大きな恩恵を与える減税政策、企業の利潤と便益を優先視する労働政策などを予告した。法と国家権力で武装した階級支配の時代が到来するのではないかと懸念される。

 もしかしたら私たちは今後、このような尹錫悦政権との戦いが避けられない状況に直面し続けるかもしれない。しかしまた、私たちが見過ごしてはならないのは、尹錫悦候補を大統領に選出したのは投票者の半分に達する有権者であり、尹候補の無能さが何度も明らかになったにもかかわらず、彼の当選を阻止できないほど、共に民主党に対する失望と反感が大きかったという事実だ。

 したがって、私たちは嘲弄と怒りに時間を費やすわけにはいかない。国民の力がこれまで5年間そうだったように、民主党が何の反省と革新もなしに尹錫悦政権に対する国民の怒りを栄養分にして延命することを座視してはならない。旧時代的思考と慣行に閉じ込められたすべての集団の権威と光彩は寿命が尽きて久しい。新しい時代の精神を盛り込んだ主体で新しい枠組みを作らなければ、韓国の政治に未来はない。

//ハンギョレ新聞社
シン・ジヌク|中央大学社会学科教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1054832.html 韓国語記事入力: 2022-08-1618:11
訳H.J

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