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[社説]現実性も原則も見えない尹大統領の光復節記念演説

登録:2022-08-16 06:31 修正:2022-08-16 08:31
尹錫悦大統領が15日、ソウル龍山大統領室庁舎の芝生広場で開かれた第77周年光復節記念式典で演説している/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が就任後初の光復節記念演説で、北朝鮮が非核化に乗り出すことを前提に経済と民生を支援するという内容の「大胆な構想」を提案した。李明博(イ・ミョンバク)政権が失敗した「非核・開放3000」を思い出させる内容だ。尹大統領は韓日関係については「未来志向的観点」を強調し、早期の韓日関係修復にのみ焦点を合わせた。強制動員被害の解決策や歴史問題に関する日本の反省には全く触れなかった。対北朝鮮・対日政策のいずれにも解決策の重要な部分が抜けている。韓国が直面した危うい外交・安全保障環境を解決していくには非現実的で空虚だと言わざるを得ない。

 15日の光復節77周年記念演説で尹大統領が公開した「大胆な構想」は、北朝鮮が非核化に乗り出した場合、食糧や電力インフラ、港湾・空港、農業技術、医療インフラ、金融などの支援を行うという内容だ。韓国が「経済支援」をするから、北朝鮮が「安全保障」の主軸とする核を放棄するよう求めるものだが、北朝鮮が核を放棄すれば1人当り所得を3000ドルまで上げるという李明博政権の「非核・開放3000」と本質的に変わらない。北朝鮮が強調してきた「安全保障上の懸念」に対するロードマップも見えない。

 こうした問題提起について、大統領室は「政治・軍事部門の協力ロードマップも用意した」とし、「初期の非核化交渉過程から経済支援措置を積極的に講じるという点で果敢な提案」だと説明した。これぐらいの提案に北朝鮮が前向きな反応を示す可能性があると、本気で信じているのか、尹大統領に聞きたい。北朝鮮が核・ミサイルを高度化し、南側に向かって「全滅」「主敵」を取り上げて威嚇する状況で、このような空虚な提案で南北関係と朝鮮半島情勢をきちんと管理できると判断したならば、無責任だと言わざるを得ない。

 韓日関係について、尹大統領は日本を「世界市民の自由を脅かす挑戦に立ち向かい、共に力を合わせていくべき隣国」だとし、早期の関係改善を強調した。日本軍「慰安婦」被害者と強制動員被害者に対する謝罪と賠償などで具体的な解決法も被害者中心主義原則に対する言及もなく、「普遍的価値を基盤に両国の未来と時代的使命に向かってゆく時、歴史問題もきちんと解決される」とだけ述べた。両国関係で敏感な安保協力に言及したことも注目に値する。

尹大統領が継承すると強調した「金大中(キム・デジュン)-小渕共同宣言」(1998年)は、歴史に対する反省と未来の協力が、21世紀の韓日関係の両翼として言及されている。 この宣言で日本は植民地支配により韓国人に及ぼした苦痛に対する反省と謝罪を明らかにし、韓国はこれを受け入れながら未来志向的関係を発展させるために互いに努力しようと明らかにした。今の韓日関係をみると、日本は強制動員被害に対して韓国が解決策を出すべきだとむしろ声を高めており、尹大統領は韓日が歴史問題に蓋をして安全保障などで協力しようと言っている。このような韓日関係は、24年前よりはるかに後退したものだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1054805.html韓国語記事入力: 2022-08-1602:39 
訳H.J

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