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[コラム]韓国版「脱亜入欧」と「東洋の憲兵」

登録:2022-08-01 03:25 修正:2022-08-01 08:45
イ・ボニョン|ワシントン特派員
先月29日、初の海外訪問に旅立った尹錫悦大統領がスペインのマドリードのIFEMAコンベンションセンターで行われた韓米日首脳会談で、米国のバイデン大統領、日本の岸田首相と対話している/聯合ニュース

 1カ月前にスペインのマドリードで行われた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議には、2人の東アジア首脳が出席した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と日本の岸田文雄首相だ。岸田首相は直前にドイツで行われた主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)にも参加した。昨年に英国で行われたG7サミットには、「正会員」ではない当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領も招かれて参加している。

 北米と欧州の機関であるNATOの首脳会議は、アジア太平洋4カ国(AP4。韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランド)を特別に招待した。オーストラリアとニュージーランドは白人が主流の英連邦の国であることを勘案すれば、韓日首脳の出席は「異質さ」が目立つ。白人一色だった風景が変わった。

 相次いで行われた首脳会議は、東アジア諸国の国力の向上を象徴する。日本はすでに1970年代からG7の構成員だった。かつて脱亜入欧(アジアを脱して西欧と運命を共にする)を叫んだ日本は、韓国を植民地化する前からそのような目標をある程度達成していた国だ。ただ、太平洋戦争の敗戦という陰の中で国際的地位の完全な復権が先送りされてきたにすぎない。似たような境遇だったドイツもロシアのウクライナ侵攻で再武装の必要性が叫ばれているため、やはり完全な復権を目前にすることとなった。

 日本とドイツがかつての地位を回復する過程にあるなら、常に弱小国だった韓国の地位向上こそ最も特記すべきことだ。日本の脱亜入欧論が内包する隣国(韓国と中国)に対する蔑視と支配の意志を除いて考えれば、韓国も脱亜入欧に成功したケースと言えるかもしれない。今や西欧と肩を並べるほどになったからだ。「グローバルコリア」というスローガンは馴染みのものとなった。安保同盟を「グローバルな包括的戦略同盟」へと格上げしようという5月の韓米首脳会談の共同声明には、「グローバル」という言葉が21回も登場する。

 これを機に「グローバルコリア」がどのような脈絡で叫ばれているのか問うてみる必要がある。世界には政治的・軍事的な対立と対決、経済的利己主義、貧困、気候危機、感染症に至るまで、深く考え解決すべき問題が数え切れないほどある。韓国はすでにG7の拡張版である主要20カ国・地域(G20)などに属し、国際的な懸案への関与を強めてきた。困難な時代には援助を受けて立ち上がったのだから、他の貧しい国を助けなければならないという道徳的責務もある。

 しかし、軍事的役割の拡大は全く異なる問題だ。19世紀から20世紀に移る時期に、西欧列強は日本に「東洋の憲兵」というあだ名を付けた。共に中国に対処し、ロシアを阻止するのに対して日本が果たした役割を評価する表現だった。そのような脈絡から日英同盟を構築し、日米がフィリピン支配と朝鮮支配を互いに了解する「桂・タフト密約」を結んだ。日本は「東洋の憲兵」の役割に満足できず、中国を独占して「東洋の総司令官」になろうとしたが、米国をはじめ西欧との関係が悪化した。

 尹大統領が参加したNATO首脳会議は、新たな戦略概念において初めて中国を「構造的挑戦」と規定した。自国のみで中国に対するのが難しい米国は「価値を共有する」国々の一致団結を推進している。韓米日軍事協力の強化もそのような観点からのものと考えることができる。中国の軍事力強化と挑戦的発言を見守る韓国人が不安を感じているのも事実だ。

 しかし、「グローバルコリア」が急速に米中対立を促進したり、韓国を「東洋の憲兵第2中隊」にしたりする可能性には警戒しなければならない。正面衝突に突き進む時、どちらの側についても朝鮮半島にとっては致命的というケースが何度もあった。ちやほやされたからといって、いい気になるものではない。困難であっても「グローバルコリア」が対立を沈静化させる方向へと機能する道を探るべきだ。

//ハンギョレ新聞社

イ・ボニョン|ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1052743.html韓国語原文入力:2022-07-28 18:03
訳D.K

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