本文に移動

[コラム]ウクライナの世界チャンピオンたち

登録:2022-03-02 03:11 修正:2022-03-02 08:21
Jaewoogy.com//ハンギョレ新聞社

 2000年代のボクシングのヘビー級は、ウクライナのクリチコ兄弟が二分した。兄のビタリ(50)と弟のウラジミール(45)。1999年の兄のWBOタイトル獲得を皮切りに、弟のウラジミールがタイソン・フューリー(米国)に敗れWBAタイトルを失う2015年まで、2年ほどを除き、世界チャンピオンの名簿からクリチコの名前は消えなかった。2008~12年は、兄がWBC、弟がWBA、WBO、IBF、IBOなど5大団体タイトルをすべて確保したクリチコの天下統一時代だった。兄は203センチメートル、弟は196センチメートルの巨体で、長いリーチを活用したアウトボクシングを行い、ワンツーコンビネーションで試合を終える。ビタリは47戦45勝(41KO)2敗、ウラジミールは69戦64勝(53KO)5敗の戦績を残した。弟が2003年にコーリー・サンダース(南アフリカ共和国)により2回KOでタイトルを失うと、翌年に兄が8回KOで取り返し、反対に兄のタイトルを奪っていったクリス・バード(米国)を、弟が2006年に7回KOで報復することもあった。兄弟はそれぞれ41歳の2012年と2017年にリングを去った。

 引退後、ビタリは政界に進出し、2014年からキエフ(現地読みキーウ)の市長を務めている。ウクライナが侵攻されると、市長は市民に家に留まりパニックに陥らないよう落ちつかせ、自身は軍服を着て前線に向かった。機関銃で武装した彼の姿が外信で報じられたりした。ウラジミールも志願入隊し、キエフ首都防衛に乗りだした。ウラジミールはロイターのインタビューで「都市、家族、隣人、娘(8)に対する愛」を語り、外交的解決を希望しながらも、「もし、それができないのであれば、銃を持ちこの国を守らなければならない」と述べた。

 ウクライナにはさらに一人の現役のヘビー級王者がいる。昨年9月、オレクサンドル・ウシク(35)は、ウラジミールを引退させたアンソニー・ジョシュア(英国)を破り、タイトルをウクライナに取り戻した。英国に留まっていたウシクは、ウクライナに戻り志願入隊した。

 ウクライナ人は屈強で勇猛な騎馬民族コサックの後裔だ。小説『タラス・ブーリバ』の舞台がウクライナだ。モンゴルの侵略以降、肥沃な土地を欲した強大国の間で苦しんだが、常に激しく抗戦した。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領(44)から高齢者、女性まで13万人が志願入隊し、火炎瓶と素手でロシアの戦車に立ち向かおうとする。街頭にある徴集所ごとに、志願入隊者の長い列ができている。

クォン・テホ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1033035.html韓国語原文入力:2022-03-02 02:31
訳M.S

関連記事