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[寄稿]ミャンマー、クーデターから300日…軍部だけでなく二極化とも戦う

登録:2021-12-01 09:10 修正:2021-12-01 13:28
[ミャンマーから届いた手紙] 
チョン・ギホン|釜山外国語大学ミャンマー語科特任教授
11月24日、ミャンマーのヤンゴンで反政府デモ隊が奇襲デモを行っている=ヤンゴン/EPA・聯合ニュース

 ミャンマーで軍部クーデターが発生してから300日がたちました。9月に12回目の「ミャンマーからの手紙」を書いて以来、日々が忙しくてしばらく消息を伝えるのが遅れました。10年前のミャンマー干ばつの際に経験した最悪の停電状態が、今では日常となっています。これを書いている27日現在も、電気が止まったため、バッテリーが切れたノートパソコンの代わりにまだ使える昔のノートパソコンを取り出しました。韓国だったら大きな混乱が起きたかもしれませんが、ここは平然としています。ミャンマー最大の都市ヤンゴンがこんな状況ですから、地方はどうなのか見当がつくと思います。

 ソーシャルメディア(SNS)で伝わるミャンマーの地方の情報は、ヤンゴンよりもはるかに悲惨です。電気は3日に1回の割合でしか供給されず、ミャンマー軍と市民防衛軍(PDF)との交戦が拡大し、居場所を失った難民が増え続けています。ミャンマーのチン州の山岳村タントランでは、軍部の砲撃前に約2千世帯がまるごと家を立ち去らねばなりませんでした。政府軍の攻撃を受けた山岳村はまさに廃墟と化し、悲惨な死を遂げた遺体はかなり経ってから藪の中から発見されたりもします。ミャンマーの市民団体が集計する政府軍による死亡者(1294人)の統計には、このような死は含まれていないはずです。

 私の住んでいるヤンゴンでは、 いろいろなことが起こっています。臨時政府である国民統合政府(NUG)が発行する国債を購入し、反軍部闘争に協力する市民がいますが、高級なルーフトップバーで夕食会を開き、これを自慢するかのように自分のソーシャルメディアに掲載している人たちもいます。また、ヤンゴンをはじめマンダレーなどの大都市では、親軍部の密告者を暗殺する反政府組織が活動しており、暗殺の対象が密告者の家族にまで拡大していることから、過度な連座制的処罰だという批判の声も高まっています。

 11月25日、ヤンゴンの代表的な高級ショッピングモール「ミャンマープラザ」で、若者たちが集まって宣伝物をばらまいて奇襲デモを行いました。警備員らは買い物客の邪魔になるとして彼らを武力で制圧し、警察に渡しました。怒った市民たちは翌日、警備員らの身元を明かしてインターネットに公開し、ミャンマープラザ不買運動に乗り出し、市民防衛軍は報復すると警告しました。軍警はショッピングモールの前に車両と兵力を配置し、ショッピングモール内の店舗は先を争って臨時休業を告知しています。駐ミャンマー韓国公館も、当分の間ショッピングセンターへの訪問を自制するよう在ミャンマー韓国人たちに案内しています。

 この過程でデモ隊が逮捕される写真や動画がソーシャルメディアを通じてすばやく広がり、ショッピングモールの警備や軍警に対する怒りと共に、気楽にショッピングを楽しむ人々を批判する意見が少なからず起こりました。市民の心の中に潜んでいた両極化と既得権益を持つ階層に対する不満が、今回の事件をきっかけに徐々に広がっているようです。ミャンマーは、軍部クーデターと新型コロナウイルス事態が重なり、爆発的に物価が上昇し、貧富の格差が手の施しようもなく広がっています。軍部への怒りが既得権市民への怒りに向かうこと、軍部が望むのはまさに、このような「分裂」した姿ではないかと思います。

 国民統合を目標に発足した臨時政府がこの宿題を早く解決しなければ、ミャンマー事態はさらに深刻な方向に進む恐れがあります。今のミャンマーを見て、私たちが築き上げた民主主義がどれほど多くの紆余曲折と犠牲の中で苦労して生み出したのかを改めて感じます。次にこの国にやってくる春が、花の香でいっぱいの春になることを期待します。

ヤンゴン/チョン・ギホン|釜山外国語大学ミャンマー語科特任教授

https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1021428.html韓国語原文入力:2021-12-01 02:35
訳C.M

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