軍部クーデターに反対するミャンマー民主化デモが40日を超えました。先週一週間の間に、軍部の強硬鎮圧の水位は極度に達しました。最近、ソーシャルメディアにデモの途中で警察に連行され釈放された女性のエピソードが掲載されました。この女性は家の庭先の片隅に体をすくめて木につかまり、恐怖で身動きもできませんでした。彼女の背中には殴打の跡があり、トラウマによる精神異常の症状が見られます。連行された女性にどんなことがあったのか、聞かずとも十分予測できるものでした。
9日と10日には、連行された前政権与党(NLD・国民民主連盟)の幹部二人が、殴打、拷問が疑われる痕跡とともに遺体で返ってきました。11日には中北部地域で8人が死亡し、休日の13~14日には70人を超える市民が軍警の銃撃で犠牲になりました。ミャンマー政治犯支援協会(AAPP)の集計によると、全体の死亡者数は183人と急増しています。この戦いの末に想像を絶する残酷さが待っているようで重い気持ちです。
11日、国連安全保障理事会はミャンマー軍部の流血鎮圧を糾弾する声明を満場一致で採択しました。国連特使および一部国家は強力な制裁を要求しましたが、中国・ロシア・インド・ベトナムの反対で「制裁」ではなく「糾弾」にとどまりました。この糾弾が、果たしてミャンマーを変えることができるでしょうか。13日から14日まで70人を超える死者が出たことからも分かるように、いったい幾度の糾弾と幾度の犠牲が繰り返されたら、彼らの涙は止まるのでしょうか。
「Imagine all the people living life in peace」(想像してごらん、すべての人びとが平和に暮らすことを)
ベトナム戦争を終息させるのに一役を買った「イマジン(Imagine)」という歌をご存知でしょう。かつてカンボジア大虐殺を映画化した『キリング・フィールド』の映画音楽としても使われた歌です。この歌を作った主人公は、ビートルズのリーダー、ジョン・レノンです。彼は音楽を通じて全世界の人々に平和と反戦に対する響きを与えました。
いま私たちにできることは何でしょうか。21世紀、私たちには第2のジョン・レノンが必要です。韓国は世界のユーチューブ再生数を塗り替えるほどレベルの高い文化芸術をもってます。ミャンマーの青年たちは、毎日韓国のK-POPを聞いて楽しんでいます。自発的なファンクラブも多く、週末には公園に数十人の若者が集まってK-POPを聴きながらダンスの練習をする姿もよく見かけます。現在、彼らの多くは街頭に出て、一部は冷たい遺体となって戻ってきました。最近の韓国の芸能人によるミャンマーのデモ支持の動きは、彼らにとって大きな慰めとなっています。この若者たちがまた自由にK-POPを聞き、笑って踊る姿を再び見られることを切に願います。
ミャンマーは70年前の朝鮮戦争当時、韓国に5万ドル相当のお米を支援してくれた国です。今回の事件を通じて、光州のつらい歴史にスポットライトを当て、自由と民主主義の大切さを改めて認識しています。私たちの力で世界にもう一度響きを伝える時が、まさに今なのです。
ヤンゴン/チョン・ギホン|ヤンゴン大学世宗学堂教授(釜山外国語大学ミャンマー語科特任教授)